goo

『舟を編む』(読書メモ)

三浦しおん『舟を編む』光文社文庫

映画にしようか、小説にしようか迷ったが、小説を選んで良かった(たぶん)。

本書を読み、さまざまな人々の協働によって辞書ができあがるプロセスを理解することができた。

特に印象深かったのは、辞書を監修している松本先生。人生を辞書づくりに捧げている姿勢がすごい。

辞書が完成する直前、主人公の馬締光也が、病気で入院している松本先生を訪れる場面がある。

「松本先生は点滴につながれ、呼吸を助けるためか鼻にも管が入っていたが、ベッドに身を起こし、枕にもたれるようにして用例採取カードになにやら書き込んでいるところだった」(p. 314)

ちなみに、用例採取カードとは、新しい言葉を記録するものである。命ある限り、自分の使命を全うしようとする研究者魂に感銘を受けた。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )