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『マーガレットと素敵な何か』(映画メモ)

ヤン・サミュエル監督『マーガレットと素敵な何か』

パッとしない邦題だったので期待せずに観たが、とても感動した
(内容とは関係ないが、主演のソフィー・マルソーは歳とったなー)

パリの一流企業でバリバリと働くマーガレットは仕事一筋。お色気も絡ませながら出世街道まっしぐらのキャリアウーマンである。そんな彼女のもとに、7歳の頃に自分が書いた手紙が送られてきた。貧乏だが純粋だった昔を思い出し、徐々に「今の自分、これでいいのか?」と疑問が湧いてくる。

手紙を届けてくれたおじいさん(昔住んでいた田舎の公証人)も、マーガレットに揺らぎを与える。特に「自分自身になりなさい」の一言はかなりのパンチ力があった。

心の底で「俺(私)って何やってんだろう」と感じている40代のビジネスパーソンが観たら、たぶんグッとくる内容である。

この映画を見ていて思い出したのが高野和明の短編「時の魔法使い」(『6時間後に君は死ぬ』(講談社文庫)の中に収められている)。シナリオライターを目指し苦労する主人公の女性が、小さかった頃の自分と1日を過ごすことで、自分を取り戻すというストーリーなのだが、これがまた絶品である。

働いているといろいろなしがらみがくっついてきて、やりたくもないことをしている自分がいたりする。しかし、われわれは小さい頃、どんな大人になりたかったのだろうか。それを思いだすとき、忘れていた自分に出会えるのかもしれない。



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