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『書を楽しもう』(読書メモ)

魚住和晃『書を楽しもう』岩波ジュニア新書

書は心の画なり」という言葉があるように、書かれた字にはその人の性格や精神状態が表われる。

この本を読み、中国から学びながらも、日本独自の文字が生み出されていく過程がよくわかった。

最も印象に残ったのは良寛の書について解説しているところ。

「書道を究めようとする人は、ひたすら技巧を追求します。歴史に学び、流儀に打ち込み、もてる力量を駆使して一作をつくりあげることに励みます。つまり、「有」の増量をひたすらにはかっているのです。(中略)ところが、そうした書道の達人がひとたび良寛の書にふれると、どんな技巧をもってしてもかなうものではないと感服するのです。書くことにこれでもかこれでもかと「有」の増量に終始している人にとっては、良寛の書はあたかも空気のように見えることでしょう。」(p.148)

禅宗の御坊さんである良寛の書の魅力は「」にある、と著者は語っている。本書の表紙には、良寛の書いた「一」という書が掲げられているが、これは凄いと思った。

ただ、そんな良寛にも、書のお手本があったらしい。自分の気に入った書家が書いたものを真似て、その上で自分のオリジナリティを出していたのだ。

まさに、守・破・離の世界である。

本書を読むうちに、墨と筆と半紙を買ってきて、書をしたくなった。

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