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底辺を引き上げる

既存売上高が34カ月連続でプラスだった「餃子の王将」の快進撃が止まった。

店長に権限を委譲し、独自のメニューや「ジャンケンで勝てば餃子無料」「皿洗いすれば飲食が無料」など、店ごとで独自のサービスを打ち出すことで、顧客を増やしていた王将だが、さすがに前年割れとなる。

では、どうすればいいのか?

社長の大東さんは、次のように言う。

人材育成ですよ。接客、味、サービス、店の清潔さ。それをどう改善するかで全然違う。(中略)僕は王将に入って40年以上が経つけど、ずっと人を柱にやってきました。人、人、人。軸はずっとぶれてへんで。」

「僕は「1・2・3・4」と言っている。1はどの店に行っても売り上げをあげる店長、2はそれに次ぐ店長、3はある程度の水準まで行っている店長で、4はまだまだなてんちょうやね。足して10.これを「2・3・3・2」か「2・4・3・1」まで持っていきたい。底辺の4を引き上げないと、企業全体が強くならないからね。」

ふつうは2・6・2といって、中間の6を引き上げることを指摘する人が多いけれども、「底辺」を引き上げることが大事だと指摘する大東社長はちょっと違う。

たしかに、底辺の店長の下で働いている社員やアルバイトはつらい。底辺のレベルで、その企業の格が決まるのかもしれない、と思った。

出所:日経ビジネス2011年6月13日号、p.84-87.
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読書会から生まれた実践

北海道常呂郡置戸(おけと)町は、材木産地として栄えた町。この町には「オケクラフト」と呼ばれる木工作品をつくる職人さんがたくさんいる。

木肌が美しいコーヒーカップや、鍋にやさしい木製のヘラなど、陶器にはない肌感覚があるオケクラフトは全国的に人気があるという。

どういう経緯でオケクラフトが生まれたのか?

それは読書会である。戦後、「二度と戦争の過ちを犯さないためには本を読まねばならない」ということから集会所で住民は本を読み始める。この集会所が図書館兼公民館となり、やがて「木に親しむ会」という木工教室が開かれるようになった。

しかし、木工の専門家がいないため本を集めて読んでいると、同じ著者の本が多いのに気づく。「じゃあ、この著者を呼ぼう」ということになり、工業デザイナーの秋岡芳夫さんから木工の指導を受けるようになる。

その後、置戸に住むことを条件に木工の研修生を募集したところ大きな反響があり、現在では20名の職人が工房を運営するまでに発展した。

読書会から始まったオケクラフト。「みんなで本を読んで、考え、教えを請いながら、実践する」。こうした地道な「まなび」の積み重ねが、新しいものを生み出すことにつながるのだろう。

出所:『翼の王国』No.505 (2011, July), p.70-84.


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