goo

まず短所に目をつぶる

先日紹介した平井氏の指導論で心に残ったのは「まず短所に目をつぶる」ということ。

北島康介選手は、レースの前半は得意だけれど、後半は苦手だったという。ふつうは、苦手の後半を何とかする練習をしそうなものだが、平井氏は「100の前半を29秒で入ろう」と前半強化策をとる。

「そんなことしたら、後半どうなるかわかりません」と言う北島選手に対し「それはかまわない」と答える平井氏。29秒で泳げるようになったら「じゃ、つぎは28秒を目指そう」と目標を引き上げた。

そして、前半がかなり強化された時点で「いいか、おまえは前半がいいときは後半もいい。前半が早いときはいい泳ぎだから、後半もその泳ぎをつづけられれば、いい記録が狙えるよ」と励ます。

上手い指導法である。

平井氏いわく「人間だれしも長所もあれば短所もある。だが、最初から短所のことを言うと、長所を伸ばせなくなる。まずは、長所を伸ばしておいて、短所が長所のじゃまになっているかもしれないと感じはじめた頃に、短所を直してやったらどうかと考えたのだ。」(p.99)

長所を伸ばすことはよく言われるが、「短所が長所のじゃまになる頃に短所を直す」という点がポイントだ。「まずは短所に目をつぶる」という「まずは」というところが大事である。

ある期間、短所を我慢できるかどうか。そこが指導者の器の大きさだと思った。

出所:平井伯昌『見抜く力:夢を叶えるコーチング』幻冬舎新書.

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )