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部分的に自己が壊される

評論家の宮崎哲弥さんは、仕事の面白さについて次にように語っている。

「私は、仕事の楽しさって、自分の思い込みや価値観が壊される可能性のことだと思っています。新しい人に出会って、自分とは異なる考え方、物事の捉え方に出合うことほど面白いことはない。それによって、部分的に「自己」がぶっ壊され、そこが何らかの形でまた新たに作り変えられていく…。それがなかったら人生つまらないでしょう。融通無碍にみえるかもしれないけど、これが大人の仕事の作法だと思う。」

まさに「アンラーニング(学習棄却)」である。

ただ、自分の思い込みが壊されるのは良いとしても、価値観が崩されるとショックを受けるのではないだろうか。歳をとるほど価値観が固まってしまうので、それが変化するとなると相当な出来事が起きることになる。

宮崎さんの話の中で大切なのは「部分的に自己が壊される」という点だろう。自分が全て壊されてしまうと再生不可能な状態に陥ってしまうが、部分的に変われば、全体が再構成される。

それこそ「成長する」ということだ、と感じた。

出所:朝日新聞社編『仕事力:金版』朝日文庫
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