普天間「移設」シュワブ陸上案
鳩山政権 民意に背
「即時撤去」で対米交渉を
米海兵隊普天間基地の「移設」問題で、政府が水面下でキャンプ・シュワブ陸上部への「移設」案を検討し、米政府に打診していたことは、1月24日の名護市長選挙で示された民意を踏みにじる行為です。
「名護市民はこれ以上の負担は受け入れることはできない。市民をがっかりさせるような答えは出していただきたくない」―。普天間基地「移設」に伴 う新基地建設反対の公約を掲げて名護市長選に当選した稲嶺進市長は17、18日の両日、都内で政府や各党党首に13年前の市民投票と同じく、市長選で示さ れた民意を伝えました。
これに対し、鳩山由紀夫首相は「重く受け止めている」と応じましたが、並行して民意に真っ向から反するシュワブ陸上案を検討していたことになります。
米軍基地強化を推進した自公政権を退場に追い込んだ昨年8月の総選挙で鳩山氏が掲げた普天間基地の「県外・国外移設」の公約にも反します。安全保 障に詳しい元政府高官も「『県外・国外移設』を公約したときと、現在の日本の安全保障環境は変わっていないのに、公約をくつがえすことは国民に通用しな い」と述べます。
民家上空飛行
シュワブ陸上案は自公政権のもとで、たびたび浮上してきたものです。しかし、米側が演習場施設の移転や山間地の大規模な整地が必要などという理由 から拒否し、頓挫しました。「(米軍の)射撃訓練の移転や、(ヘリコプターが)民家上空を飛ぶことをどうクリアしながら考えるか」(19日、前原誠司沖 縄・北方担当相)と、すでに政府内からも疑問の声が出ています。
もともと、現行案がシュワブ沿岸部のV字形滑走路となったのは、民家の上空を避けるためという口実でした。陸上案では、いかなる飛行ルートであっ ても民家上空を避けて通ることはできません。しかも、米軍はこれから事故の危険が高い垂直離着陸機MV22オスプレイを配備しようとしています。
オスプレイ配備を前提にすれば、1600メートル級の滑走路が必要となります。基地内の山を大規模に削らなければならず、土砂の流出などで辺野古大浦湾の海にも影響を与える危険性が大いにあります。
シュワブ陸上案は沖縄だけの基地負担にとどまりません。鹿児島県の徳之島や馬毛島など鳩山政権の下での「移設先」候補とされたところへの普天間基地所属ヘリ部隊の訓練移転も合わせて提示するとされています。
国際法を無視
そもそも、普天間基地は戦後、国際法を無視して米軍が住民の土地を無理やり奪ってつくられたものです。アメリカも「世界一危険」と認める普天間基地の「移設先」探しに政府が必死になることは、無法の下でつくられた危険な普天間基地の存在を肯定することです。
鳩山首相をはじめ、「民主主義国家だから、選挙の結果は尊重する」(17日、北沢俊美防衛相)「名護市長の気持ち、県民の気持ちも生かした案を決 める」(同、亀井静香国民新党代表)というならば、「危険な基地は即時撤去しろ」との立場で、対米交渉に乗り出すべきです。(洞口昇幸)
ロイター通信
日本 将来「安心」は最低・「不安」最高
世直し以外の道はない世界23カ国の国民を対象にした世論調査によると、日本人の86%が将来に不安を感じており、各国中最高値でした。国際的な世論調査会社IPSOSが実施したもので、ロイター通信が15日伝えました。
同社は、昨年11月から今年1月にかけ、世界の国内総生産(GDP)の75%を占める23カ国で世論調査を実施。約2万4千人から回答がありました。
将来について安心を感じるか、不安を感じるかという質問に対し、「非常に安心」と「やや安心」と回答した人の合計が上位の3カ国は、インド (79%)、中国(78%)、オーストラリア(73%)。下位3カ国は、日本(14%)、フランス(21%)、チェコ(25%)でした。
将来について「非常に不安」「やや不安」と回答した人の合計がもっとも多いのも日本(86%)で、次はフランス(79%)でした。
自国の経済情勢を質問したのに対し「非常に良い」「やや良い」と答えた人の合計は23カ国全体で36%。「非常に悪い」「やや悪い」と答えた人の合計は64%でした。
「非常に良い」「やや良い」と回答した人の多い国も、インド(82%)、オーストラリア(81%)、中国(78%)の3カ国。下位3カ国はハンガ リー(7%)、日本(8%)、スペイン(10%)でした。日本は「非常に悪い」「やや悪い」と回答した人が92%に達しています。
日本の経済危機が深刻で、国民をより不安に陥れていることが浮き彫りになっています。 (田中一郎)
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