ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

国際ソムリエコンクール欧州&アフリカ大会の優勝はイタリアのサルヴァトーレ選手

2021-11-20 18:38:38 | ワイン&酒

先日ご案内した、キプロス島で今週開催されていた「ASI Contest Best Sommelier Europe & Africa」ー国際ソムリエコンクール欧州&アフリカ大会の決勝が11月19日に行なわれました。

日本時間の21時から0時過ぎまでライブ配信されたので、長丁場でしたが、ずっとPC前で見守っていました。

 

セミファイナリストは10名。

パスしなかった選手が順不同でコールされ、残った3名がファイナルー決勝に進みました。

 

ファイナリスト 選手の左から

Nina Jensen, Denmark/ Suvad Zlatic, Austria/ Salvatore Castano, Italy

 

前回の世界最優秀コンクールで2位になったニナ・ジェンセンが進んだのは順当でしょうか。

 

くじ引きの結果、Salvatore → Nina → Suvad の順で審査が行なわれました。

 

審査結果を先にお知らせすると…

 

1位 Salvatore Castano, Italy

2位 Nina Jensen, Denmark

3位 Suvad Zlatic, Austria

 

3位から発表され、その後に1位が発表され、呼ばれなかったニナが2位。

私の予想通りの結果順位で、やはり、と思いました。

 

 

 

トップバッターで登場したイタリアのサルヴァトーレは、どの課題も控えめに卒なくこなしていました。

正直、ちょっと地味だなぁと感じたのですが、これくらい穏やかな方がいいのかもね、と思いながら、次のニナを迎えました。

 

 

ニナのサービスは2019年3月の世界大会で現場で見ましたが、その時よりも今回の方が息が上がっていました。ハッハッという息遣いが画面越しに聞こえ、キビキビと動いていますが、せわしない感じがあり、話す口調もとても早口。余裕がないように見え、見ている方が落ち着かなくなりました。

それゆえ、ニナを一通り見た限りでは、サルヴァトーレの方が良かったように思えました。

 

 

オーストリアのスワッドの印象はエネルギッシュで押し出しが強く、イタリアのサルヴァトーレと逆の雰囲気。

ちょっとしたミスからあせり始め、汗をかきっぱなしで、課題の間はずっと水をゴクゴクと飲んでいました。彼も余裕がなく、落ち着きがないように見え、ん?と思う答えもあり、ニナには一歩及ばないと思いました。

 

という見方をしたので、スワッド<ニナ<サルヴァトーレ かな?というのが私の予想。

予想通りでした。

 

 

課題の方を紹介すると、非常にスタンダートな内容でした。

 

最初は、3名テーブルへのアペリティフサービス

 

 

シャンパンカクテルで、というリクエストをよく聞くことが大事で、その後は、しっかりレシピ通り&時間内に作れるか、です。

 

 

次は、グラスに入った赤ワイン1つ(ブラインド)のコメントをフルで。

 

 

次は、6人テーブルでのワインサービス

注文した料理が決まっていて、それに合う赤ワインを提案し、デカンタ後にサービスする、という課題。

3選手とも同じワインTorres Mas la Plana(カベルネ・ソーヴィニヨン)を選びましたが、サービスの差がけっこう出ました。

レディーファーストのスキップなど、気になる点いろいろ。

 

次はまたブラインドテイスティングに戻り、5つのグラスワインが出てきました。

甘口タイプらしく、最も甘いものから最も辛口のものまで順番をつけ、もちろん、そのワインの素性もコメントする、という課題です。

 

その5つのワインそれぞれに合う料理をコース仕立てで考える、というのが次の課題。

この甘口ワインの2つの課題は難題だったように思います。

 

続いて、3つのグラスに入ったベバレッジのブラインドを90秒で

90秒というのが非常に短く、他のテイスティングは4分の時間を与えられていました。

どうやらリキュール類らしく、ニナはグラスに水を加えて白濁するかどうかを見ていました。

 

このブラインドの後に、MCから「タラゴナのシャルトリューズ」についての短い質問がありました。

ということは、シャルトリューズが入っている?

 

最後は、ワインリストの間違い探し

これはよく出る課題ですね。

 

 

わかりますか?

 

 

審査終了後、集計中に課題の解説がありました。

 

 

ブラインドの赤ワイン1つはイタリアのバローロ、ブドウ品種はネッビオロ(左端)。

6人テーブルのサービスに用意されたのが右4本の赤ワイン。

 

 

甘口5つのワインと、3つのベバレッジもオープンされました。

3つのベバレッジは、シャルトリューズのバリエーション!

シャルトリューズはフランスで修道士により誕生した薬草系のリキュールですが、政教分離で修道会を解散させられた修道士らが移った先がスペインのタラゴナ。

というわけで、シャルトリューズのジョーヌ(黄色)、ヴェール(緑)、タラゴナのバリエーションでした。難しい!

 

 

 

結果、イタリアのサルヴァトーレ・カスターノ選手が優勝しました。

彼は、ヨーロッパ&アフリカ大会のチャンピオンとして、2023年にパリで行なわれる世界最優秀ソムリエコンクールに参加します。

 

残るアメリカ大陸大会は、2022年2月にチリのコンセプションで、アジア&オセアニア大会は2022年秋に台湾で開催されます。

チリでの現地取材は無理ですが、来秋の台湾なら取材に行けそうでしょうか。

 

 

しかし、順位決定後の3選手の3ショットを見ても、サルヴァトーレ選手は一番影が薄いような?

 

 

セミファイナリストの集合写真を見ても、彼は最後列にひっそりといました。

このさりげなさが、サルヴァトーレ選手の、いい意味での持ち味かもしれません(笑)

 

2023年のパリ大会、期待しています

 

 


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