16日、初めて漱石の勉強会(読書会?)に参加しました。
作品は「それから」
小森陽一先生を講師とするこの会はもう何年も続いているようで、その存在を知らなかったのが悔やまれます。
お話を聞いている間中、「ああそういうことだったのか」「そんな風にも解釈できるんだ!」「最初の布石をちゃんと後半で拾っている所は漱石はやはり頭が良いなあ」とか、知的な興奮がずっと続きました。
特に印象的だったのは「百合」が効果的に使われているという指摘でした。百合の花はイースターリリーでイエスキリストの復活を告げる象徴の花で、その花を三千代(主人公が密かに愛する、友人の妻)も、代助(主人公)も効果的に登場させます。「それから」という題名も単にTHENという意味だけでなく「それ」は「百合」もさしているとか・・・
百合の香りも、百合の茎を斬った代助の行為も全ては象徴だった・・・なんて、一人で漫然と読んでいたのでは到底思い至りません。
また、作品の時代背景も説明があり、理解が深まりました。写真の黒板に書かれた旅順港閉塞作戦の時の逸話としてあの軍神・広瀬中佐の美談が話されました。私は子どもの頃「広瀬中佐の歌」でまりつきをしていたのでなんだか嬉しかったのですが、先生のお話では、この作戦は失敗に終わったので、それを美談に変えたのだが、漱石はこの事実を見抜いていると。さすが!
参加して良かったです。次回が楽しみです。
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