拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

♪おれはさんぞく(ではない)

2024-05-10 07:17:14 | 音楽

山で他の登山客とすれ違うとき赤の他人でも「こんにちは」と挨拶をする。これは「私は山賊ではありません。どうぞ、ご安心を」と言うサインだと私は思う。と考えたのは、平日、閑散としている筑波山の登山道を歩いていてたまーに人とすれ違ったとき。そういうとき、相手は山賊(海だったら海賊)に見えるものである。ヴェルディの「リゴレット」というオペラでも、夜中にスパラフチレに「シニョール」(旦那!)と声を掛けられたリゴレットは「Un ladro?」と聞いたものだ。因みに、ある偉い人はこの「Un ladro」を「おいはぎ」と訳していた。この「おいはぎ」が刑法の何罪に該当するかというと、相手を威嚇してるから窃盗ではおさまらない。刃物を突きつきていれば強盗、ちょっと怖い程度では恐喝である。

そう言えば、スーパーで店員が人の顔をみると「いらっしゃいませ」と声をかけてくるのがうざく感じられることがあるが、これも、「私は、あなた様を、万引きとは思っておりません」と言っているのだと思えば納得である。因みに、とっ捕まった万引きが「店員にいらっしゃいませと言われたから店に入ったんだ」と言い訳をしたら通るか?通らない。この場合の「いらっしゃいませ」は錯誤に基づいた挨拶であり、もし万引きのおでこに「オレは万引き」と浮かんでいれば「いらっしゃいませ」と言うはずはなかったからである。なお、万引きは、刑法では窃盗である。

万引きのおでこに「オレは万引き」と浮かぶことはないだろうが、「ひょっこりひょうたん島」の海賊たちは、「オレは海賊」と歌って自己をアピールしていた。ところで、この人形劇が後年リメイクされた際、いくつか私の記憶と異なるところがあった。例えば、件の「オレは海賊」の歌。トラヒゲが一人で歌う場合と、四人組の海賊が歌う場合があるのだが、後者について、私の記憶では、四人が自分たちの名前を名乗る箇所は、ガラクター(ソで伸ばす)、○○○ー(シで伸ばす)、○○○ー(レで伸ばす)、○○○ー(ファで伸ばす)とハモったと思うのだが(○○○には「トウヘンボク」「ドタバータ」「ヤッホー」が入るのだが順番を覚えてないので○○○にした)、リメイクでは順々に名前を名乗るだけでハモってない。あと、子ども達が大人に反抗する歌、私の記憶では「勉強なんかいー」で歌い出すのだが、リメイクでは「勉強なさいー(と大人が子どもに命令する)」だった。もちろん私の記憶違いであり、ある部分、脳が勝手に創作していたわけである。

なお、「ひょっこり」の四人組の海賊のうち「ヤッホー」は元山賊である。だから名前が「ヤッホー」で海賊のくせに船酔いするのである。ついでに他の三人についても触れておくと、「ガラクータ」は元イギリス貴族で上品、「トウヘンボク」は元中国の馬賊でラーメン好き、「ドタバータ」は元人足で力持ちって具合である。子ども向け番組とは思えない見事な人物設定だが、一点、「ガラクータ」は名前からしてイタリア系だと思われるのにイギリス貴族というのが若干腑に落ちない。まあ、イタリア系イギリス人ということなのだろう。トウ・ヘンボクが中国馬賊でラーメン好きというのは、これは非の打ち所のない設定である。



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