拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

おらストリップやるだよ(追悼・あき竹城)

2022-12-22 09:01:52 | 音楽

有名人の訃報が相次ぐが、あき竹城さんは、中学生のときからテレビで見てた人なので、あらま感が半端でない。そう。家人が寝静まった深夜にそっと居間に行ってテレビをつけて「11pm」を見ていて、あき竹城さんは、この番組にヌード・ダンサーとして出演していた。印象的だったのは山形弁丸出しのトーク。それもそのはず。舞台で踊ってた頃、踊りの間のコントで繰り出される山形弁が評判となり、それでテレビに出るようになったんだった。因みに、踊りの合間のコントは大変だそうだ。なにしろ、客は踊り子を見に来てるわけだから、そんなところに芸人が出て行っても「引っ込め」と言われるのだがオチ。あき竹城さんの場合は、踊り子自身がコントも演じて、しかもウケたというのだから相当なものだ。だが、トークだけではない。親にばれないようにこっそりテレビを見ている中学生にはその踊りも十二分に妖艶だった。私がこの手の踊りを見たのはあき竹城さんが多分初めてである。

その後、ドラマや映画でも見るようになった。代表作としてみんなが挙げるのが「楢山節考」。うん、覚えている。緒形拳の後妻役で「気立ての良い働き者」がぴったりだった。だが、映画で私的に一番印象的だったのは「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」。エンディングで、例によってヒロインにふられて地方を旅する寅さんの傍らにマイクロバスが止まる。降りてきたのはあき竹城さん。職場仲間との旅行中、見知った寅さんを見つけたのだった。誘いに応じた寅さんがバスに乗り込むと、喜んだあき竹城さんが「おらストリップやるだよ」。自らを重ね合わせるようなこの台詞をけれんみなく言い切ったあき竹城さんに映画館はどっと湧いたものである。因みに、このときのヒロインはキャンディーズのランちゃん(伊藤蘭)。ランちゃんの彼氏で寅さんを失恋に追い込むのが村田雄浩。このときの村田さんは、まさに「武骨隆々1万年」って感じで(この表現は、わが母校の高校の第1応援歌の一節である)、山田洋次監督の映画によく出てくるタイプ。すなわち、最初、ものすごく乱暴そうに登場して、後からさくらだとかおばちゃんに「それがいい人なのよ」って言わせる(こうしたギャップは、映画においても、交際に持ち込む手段としても有効らしい)。「鶴瓶の家族に乾杯」でも鶴瓶が出会った人のことを必ず「ものすごくいい人」と言う。私など、ひねくれてるから、世の中、そんなにいい人ばかりいるわけないじゃん、とか思っちゃう。そう言えば、寅さんこと渥美清もストリップ小屋出身である。当時、客は、渥美清のコント目当てに小屋に押し寄せたという。希有な例である。

あき竹城さんは、「男はつらいよ」に「かもめ歌」の後、もう一作「口笛を吹く寅次郎」に出演している。山田監督もその存在感を認めたのだろう。見て追悼とする所存である。