拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

白鳥がつなぐ北上小旅(池から沼へ)

2022-12-12 21:08:35 | 日記

あたためてきたプランがある。白鳥の手賀沼と、白鳥の西白井の池の間を踏破する小旅である。カレンダーは当分(というかずーっと)真っ白。天気もいい(昨日)。Die Zeit ist da!(今でしょう!(意訳))。一つ問題。手賀沼から西白井の池に行くか(南下)、その逆か(北上)。本来なら南下を選びたい。時は冬。人間は北から暖かい南に向かいたいもの。だが、このプランには一つ条件がある。手賀沼大橋のたもとにある天然温泉でお湯につかり、併設レストランで石窯ピザを食べて小旅を終わらせる、という条件である。そのためには北上ということになる。ということで、西白井駅から此度の小旅はスタートである(駄洒落)。

まずは西白井の池。はたして白鳥はいるだろうか。いた!しかも、ぞろぞろいた!

さらに、そのうちの一羽が羽を広げる大サービス(冒頭の写真)。幸先のよい小旅のスタートである。

この後は、手賀沼を目指して北北西に進路をとる。おハイソな住宅街を抜け、工場団地を抜け……といった具合で、なかなか都会っぽさから抜けられない。このあたり、頼朝が鎌倉を目指して進軍した頃は原野だったろう(私の郷里は横浜線沿線だが、半世紀前、横浜線と相鉄線の間にもグリム童話に出てきそうな鬱蒼とした森が広がっていて、父親と連れだって歩く「山歩き」は冒険だった。幸いにして、ヘンゼルのように森の中で捨てられることはなかった。最近、歩いてみたら、隅の隅まで家で建ち尽くされていた)。

畑が見えだしたのは、16号線を超えたあたりから。リスト音楽院のペレーニ教授が言う(又聞き)「歩け!大地からエネルギーを吸収しろ」の「大地」はこういう地面のことだろう。と思った矢先、いきなり見覚えのある山陰!

筑波山である。これでまたテンションが上がって、歩く足にも力がこもる。そうやって、歩き始めてから3時間、北上を始めてから2時間ほどで手賀沼大橋に到達。当初予定していた天然温泉はすぐそこだ。だが、問題勃発。すでに日の入り間近。ここでお湯に浸かっていたら手賀沼が見られない。残念だが、お風呂は別の機会にしよう(取手から利根川を渡って手賀沼まで歩くプランもあたためているので、お風呂はそのときにしよう)。そうして、後ろ髪を引かれる思いで手賀沼大橋を渡ってたら、え!これって富士山?

ズームを上げてみる。

まさに富士山であった!お風呂を我慢した私にこんなご褒美が待ってるとは!

ところで、今回の小旅は白鳥がつなぐ北上小旅であった。手賀沼の白鳥はどうなったか。橋を渡り終えた頃、日もとっぷり落ちてあたりは暗闇が支配する。

これでは白鳥の捜索は無理。橋を渡り始める前(まだ陽のある間)に撮った「作り物」の白鳥でご勘弁願おう。

これがオチになるはずであった(オチとしては上出来である)。で、暗闇を歩き続け、角を曲がれば我孫子駅に向かうあたりが手賀沼公園。ここで沼ともおさらば。映画で言えば、エンドロール(配役・スタッフ紹介)が終わって館内に明かりがつくかってあたりである。ここに来て、グエッ、グエッっと鳴く声。もしかして……声が聞こえるあたりにカメラを向けてシャッターを押す。

撮ってるときは分からなかったが、再生すると、首が長い。白鳥かもしれない。まるで、映画のポストクレジットである(ポストクレジット=エンドロール後にちらっと入る思わせぶりなシーン。続編を予告したりする)。

とにかく、西白井で白鳥を見て、途中で筑波山を見て、手賀沼大橋で富士山を見て、橋を降りたところで白鳥を見たかも知れない豊作な一日であった。4時間半の間に歩いた歩数は3万歩超え。

距離にして20km、消費カロリーは1000キロカロリーを超えた。

因みに、今回の小旅で超えた16号線は、ぐるっと回って横浜まで通じている。そこは、まさに上記の横浜線と相鉄線の間のあたりである。


速度大師(Schnellmeister)

2022-12-12 09:56:34 | 言葉

西郷さんを「せごどん」と言うのはフランス語っぽいと思った(Sai-go-don)。

さて。「シュネルマイスター」って馬が香港のレースに出たのだが、ゼッケンに書かれた名前が「速度大師」。なるほどと思うのとええー?と思うのとが半分半分。

まず「速度」について。日本語で「速度」というと速いのも遅いのも含まれる。だが、ドイツ語の「Schnell」は「速い」である(遅いのも含んだ「速度」は「Geschwindigkeit」)。だから「シュネル」を「速度」に訳すのはいかがなものか?と思った。では、どう訳すべきか?「速い」だと芸がないから「スピード」とか……まてよ、「スピード」だとこれも「速度」と同じで低速が含まれてしまう?英和辞書をひく。ふむ。「speed」には「速度」のほか「速いこと」の意味がある、とある。すると、中国語の「速度」にも「速いこと」の意味があるのだろうか(知らんけど)。そうなら、当初の私のいちゃもんは無学故のいいがかりだったことになる。因みに、半世紀前「スピードシンボリ」という名馬がいた。これに跨がった騎手は野平祐二。後に調教師になった。今、現役の福永騎手も来年からは調教師である。

続いて「大師」について。これは「なるほど!」である。そもそもドイツ語の「Meister」=英語の「master」=イタリア語の「maestro」は多義なのだが、その多義を、日本語は各国語に振り分けてる感がする。例えば、
「Meister」=手工業の親方(例=「ニュルンベルクのマイスタージンガー」)
「master」=師、先生(例=「マスター・ヨーダ」)
「maestro」=指揮者(例=「マエストロ・カラヤン」)
と言った具合。このうち、香港競馬が使った「大師」は2番目の用法だろうか(知らんけど)。私が「大師」で真っ先に連想するのは「川崎大師」。元は神奈川の人間なので(住んでる年数は足立区が最長だが)。

以上のほか、これらの言葉には共通して「名人」「達人」という意味がある(「ニュルンベルクのマイスタージンガー」も「ニュルンベルクの名歌手」と訳されることがあり、訳知り顔の人たちは「誤訳」と言ってるが、以上の話からするとあながち誤訳とも言い切れない)。「シュネルマイスター」の馬主さんは、この意味で命名したのではないか(Wikiも馬名の意味を「スピードの達人」としている)。

なお、私は、ドイツ語を勉強している身なので、件の馬名は「速い親方」である。

ところで「マエストロ・カラヤン」は、世界の某などからは「カラヤン先生」と呼ばれている。カラヤンみたいな偉い人が自分の先生なんだぞ、と自慢しているように聞こえるとしたら、これは今朝あさイチでやってる「妬み」だろうか。いや、世界が違いすぎるから妬みの感情ではない。単に好きでないだけだろう。

「シュネルマイスター」の英訳は「スピードマスター」で決まりである。

香港競馬には「ボタニク」って馬も走ってて、聞いて一瞬ぎょっとしたが、肉は肉でも猪鍋の方だと思い直してほっとした……とか言って、前日は桜肉を美味しくいただいたところである(注文しないのに店が間違って出してきた。しっかりお金はとられた)。映画「ベイブ」を見て泣いてもポークは食卓に欠かせない。さかなクンも、魚を食べるのが大好きだという。

香港は暖かいのだろうか?競馬場に集うご婦人がえらい薄着で(胸は大きく開けてるし、スカートは超ミニ)、日本にいて暖房をけちってる身からすると、えらく寒々しく見えたのだが。

その香港の別のレースで勝った日本馬のウインマリリン!馬名から私が連想するのはマリリン・モンローである。

(追記)「速度を自由に操る達人」という意味に解せば、「速度大師」は大いに「あり」である。なんとなくジェダイっぽい。