「ラベル」ではなく「ラヴェル」なんだから、馬主さんはモーリス・ラヴェル(フランスの作曲家)に因んで命名したのだろう。にもかかわらず馬を紹介するアナウンサーはそのことに思いがいかなかったらしく、「ラヴェルのレヴェルがどうのこうの」と言った駄洒落でお茶を濁す。私なら、「ボレロのリズムで突っ走る」とか言ったろう……いや、馬がボレロのリズムで「タッ、タタタ、タッ、タタタ、タッタッ」と走ったらダメだ。最後の「タッタッ」でブレーキがかかりスピードが出ない(ジョルジュ・ドンの踊りのように、上下運動には向いていると思う)。そのせいだろうか、ラヴェルは4番人気だったが結果は11着。惨敗である。それでも、クラシック音楽ファンを自認しているし、バロックと言えばフランスだから、今後もこの馬の馬券を買わないわけにはいかないのである(以前「バッハ」が名前につく馬の馬券を買い続けたのと同様の心理である)。
このレースで、もう一頭私が軸にしたのは「ミスヨコハマ」。
私が横浜育ちのため。この馬名でいしだあゆみが浮かんでくるのは「ブルーライト・ヨコハマ」のせい。この際である。横浜がらみの歌の疑問をいくつか吐き出そう。
疑問その1。「ブルーライト・ヨコハマ」の「ブルーライト」って何?時代が時代だから、青色発光ダイオードや眼鏡のブルーライトカットとは関係なさそうだが。
疑問その2。「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」の「ヨーコさん」ってヨコハマ・ヨコスカの「ヨコ」?つまり駄洒落?
疑問その3。「よこはまたそがれ」の歌詞の「ホテルの小部屋」のホテルってラブホ?
以上のうち、その1については早々に答が分かった。「港の見える丘公園から見える横浜と川崎の工業地帯の夜景」なのだそうだ(Wiki)。
なお、青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」の「伊勢佐木町」は、横浜港にほど近い繁華街の地名である。私は、中学生の頃、頭痛覚悟で横浜線に乗って市街に来る目的の多くは、伊勢佐木町にあったハマ楽器で楽器やレコードを買うためである。私が中一のときに初めてオペラのレコード(リゴレット)を親に買ってもらったのもここである。今は、その場所に音楽教室があるらしい。
さて、そのミスヨコハマだが、11番人気で9着だった。あらま、ラヴェルに先着したんだねぇ。
馬名のせいで馬券を買わざるえない馬は、現在はこんなところ。
「ムジカ」(文字通り音楽)
「オーベルニュ」(カントループ作曲の「オーベルニュの歌」を女声歌手が結構とりあげている)
「ソフトフルート」(クラリネットを吹くと血圧が上がるが、フルートを吹くとどういうわけだか血圧が下がる)
「カテドラル」(室内合唱団が定期演奏会に使わせてもらってた)
因みに、かつての朝ドラ「てるてる家族」で描かれた一家は、いしだあゆみさんのご実家である。