拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

昔の名前で出ています(グレエトヘン)

2019-07-15 09:42:47 | 音楽
「千人」の第二部の歌詞はゲーテのファウストの最終章からとられている。ファウストが死んだ後、その魂が天に昇る際、いろんな霊が「お出迎え」に出てくるシーンである。その中には「かつてグレエトヘンと呼ばれしもの」もいる。昔の名前で出ています、である。ホントなら、死んだファウストの魂は悪魔メフィストフェレスのものになるはずだった。ところが、そこに天使がやってきて、メフィストフェレスがぼーっとなってる隙に(チコちゃんかっ)、その魂を天使がかっさらっていったのである。メフィストフェレスの立場からすると「鳶に油揚げをさらわれる」である。そういえば、キアヌ・リーブス主演の「コンスタンティン」って映画でも似たシーンがあったっけ。悪魔がキアヌ・リーブスを地獄に持って行こうとしたときに邪魔が入るのである(たしか)。いやあ、壮大な曲である(千人の話)。マーラーと言えば「嘆き節」であるが、この曲は肯定感で満ちあふれている。マーラー自身もその点がすごく気に入っていたそうだ。因んだ話その1。ファウストの件の箇所をドイツ語で読もうと思ったのだが難しい。もう時間がもないことだし(千人通唱会まで1か月を切った)、日本語訳を読もうと思ったらもっと難しい。これ日本語?「グレートヒェン」は「グレエトヘン」だし。その2。クラリネットのパートを練習するとき併せる音源がバーンスタインだとどうにもテンポが伸びて訳が分からなくなるのでブーレーズに変えてみた。おおっ、さすが「蒸留水のよう」と形容されるだけあって(これ、褒め言葉?)明白そのもの。なんと、第1部のエンディングがむやみに速くない。ちゃんんと音が分かる(バーンスタインのだと、もう怒濤のアッチェレランドで何がなんだか分からない)。最初からこっちを聴けばよかった。ブーレーズ、だーいすき、である(ハズキルーペか)。