拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

ワーグナーはお好き(じゃない?クラで吹くワルキューレ)

2019-07-08 10:14:11 | 音楽
A合唱団で「男」に戻ったんなら是非歌いたい曲がある。ヴァーグナーのヘルデン・テナーの諸役である。特にヴァルキューレのジークムントとマイスタージンガーのヴァルターはいい!歌う機会はある。歌いまくる会だ。ぽんとピアノの伴奏譜を持ってってワーグナーを弾いてなんてそうそうお願いできることではないがここではやってもらえる。だが問題は私。男だからって誰でもヘルデン・テナーを歌えるわけではない。っつうか、普通は無理である。やりたい、でも無理って感じで長らく悶々としていたらはっと思いついた。そうだ、クラリネットで吹こう!(困ったときのクラリネット!)ということで、おとといの会のソロ・コーナーの2巡目はジークムントが歌う「冬の嵐は過ぎ去り」(因みに、1巡目は自作のクラリネット・ソナタ)。いやぁ、ピアノ伴奏が素晴らしかった。吹きながら「恍惚の人」になりましたよ、私。そもそも、クラで吹いてでもこの曲をやりたかったのは、ピアノを聴きたいってことがあったから。で、アフターでみんなに、「ねっ、ジークムント、素晴らしかったでしょ」と聞くと、一様に困惑した表情で「なんだかよく分からなかった」。えーっ?あんなに素晴らしかったのに?。でもそっか。ヴァーグナーの「無限旋律」に対する一般的な反応なんてこんなものなのかもしれない。どれもが「大行進曲」「結婚行進曲」「ワルキューレの騎行」のような分かりやすいものばかりではない。まあ、いい。カウンター・テナーだって、うーんとほめてくれる人もいれば、「男の裏声、気持ち悪い」っていう人もいるからね。人の反応など気にしてられない。しばらくはヴァルキューレ・シリーズに決めた。次は、今回のジークムントの歌に応えてジークリンデが歌う部分。これはソプラノだから私が歌うのは無理(下半分は出るけど)。まさにクラで吹く甲斐があるってもんだ。ここもいいぞー。色っぽくて。想像しただけで興奮。大体、ヴァルキューレの世界観がすごい。人妻のジークリンデがジークムントとできちゃうだけでもすごいのに、その関係を持った二人が双子の兄妹!私はこういう話が大好きである。ハズキルーペである(「すごい」+「だーいすき」=「ハズキルーペ」)。だから、飲み会で仲良し夫婦(のように見える夫婦)の片割れがよろめいたなんて話が出ると、それだけでワインのボトルが空く。因みに、不倫の二人が「兄妹」というのは日本での一般的な理解であるが、「姉弟」であってもなんらおかしくない。台本のどこを読んでもジークムントが「兄」だなんて書いてない。まあ、ヨーロッパの人はどっちが年長かなんて気にしないからね。今回の歌いまくる会で歌ったカンタータはBWV31。これもたいそういい曲であった。毎回、「今回のもいい曲だったねー」と言い合うのもこの会の楽しみである。そのバッハで私はバスを歌う気まんまんでいたら、アルトがいなくて、結局、アルトを歌うことになった。まったく、あっちやこっちやでいろいろである。