拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

山に逃げる

2019-07-30 20:48:58 | 日記
テッペイ兄ちゃんが徴兵拒否で山に逃げた。思い出した。私が小学校にあがった時はまだ終戦から20年経ってないときだったから、元軍国少年の先生がいて、私らの担任の先生もそうで、あるとき私らに「いざ戦争になったら、君たちが山に逃げちゃうんじゃないかと先生(一人称)は心配だ」と言っていた。私は、とっさに、逃げるんだったらどの山がいいかな、と考えていた。中山町には「ちんの山」と呼ばれる場所があったが、そこは「山」とは名ばかりの単なる高台で、最近は住宅に埋め尽くされていて「山」を思わすものは何もない。それよりも、私の家から南に鬱蒼とした森が続いていて、そこなどはグリム童話に出てきそうななにやら恐ろしげなところだから、おまけに沼もあったりして、逃げるならあそこかな、とか思ったものだ。だが、近年歩いて見たら、やはりすべて住宅に埋め尽くされていて、森の名残りは皆無。中央の人たちからは「チベット」と呼ばれていた中山町あたりも所詮は横浜市。身を隠せるような山はなく、徴兵拒否は無理な話であった(先生の心配は杞憂であった)。それに比べると、ドラマの舞台(山梨の中でもうんと山の方)はなんと言っても熊が出る土地である。山を知り抜いた山男であれば身を隠すことも可能なのだろう。昨日今日の放送で、警察や軍が必死になって山狩りをしているがテッペイ兄ちゃんは見つかりそうもない。それにしても、山狩りをする警察や軍の執拗なこと。みんなが徴兵拒否をすると軍隊が成り立たないから意地でも見つけ出そうと必死である。この人たちは、しかしえばっているのが気に入らない。平気で市民に暴力をふるう。お国お国と言うのなら、お国の大事な宝である国民を傷つけてはいけないんじゃないの?(その前に重大な人権侵害であるが、人権と言っても通じない時代である)因みに、現代のドイツには徴兵制があるが、軍隊に入りたくない人は奉仕活動をすればよいことになっている。フライブルクのゲーテインスティトゥートで生徒の生活支援をしていた若者たちはその仕事を奉仕活動としてやっていた。生活支援と言ってもボケ老人の生活支援とはワケが違い、見るからに楽そうで、あんな楽な仕事で軍隊の代わりになるんだぁー、とわれわれは変に感心していた。「軍隊」と言ったが、正確には「Bundeswehr」。日本では「連邦軍」と約されているが、言葉に忠実に訳せば「連邦自衛隊」である。日本と同じ敗戦国。そのあたりの事情も似通っている。