拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

マクロプロス事件(「アーノ」は「Ah,no!」にあらず)

2015-12-13 10:56:14 | 音楽
昨日の「ららら♪クラシック」でヤナーチェクのシンフォニエッタをとりあげていた。この曲は村上春樹の「1Q84」に出てくるんでメジャーになった。が、私にとってヤナーチェク(リヒァルト・シュトラウスより10歳お兄さん)は、最高のオペラ作曲家の一人。フランクフルトでイェヌーファを観たときは、鳥肌がたった。こんな素晴らしい作曲家について当時の評論家は「素人に毛が生えた程度」と評していたという(評論家に聴く耳がない例がまた一つ増えた。評論家はたくさん勉強してるんだろうが、自分が勉強した範疇にないものは否定したくなるのかもしれない)。そのヤナーチェクの「マクロプロス事件」をCSで観る。「マクロプロス」ではぴんとこないが、これはギリシャの人名なので(前の記事からギリシャづいてる)、「マクロプーロス」と言うとピンとくる(そういう表記もある)。歌詞に頻繁に「アーノ」が出てくる。一瞬「Ah,no!」?と思ったが(そんなわけない。チェコ語だから)、意味は正反対、「Yes」であった(チェコ語ご堪能のふさこさんにお聞きすればすぐ分かったことだろう)。主演のアンゲラ・デノケが圧巻なのは誰もが認めるところだが、私は、メゾのユルギタ・アダモニテにも注目した。素顔も眼鏡をかけてて、ドイツで仲良くなった先生と似てる。

ダナエの愛(ギリシャ危機)

2015-12-13 10:30:32 | 音楽
オペラ「ダナエの愛」は、リヒァルト・シュトラウスのオペラの中でもマイナーな部類だが、最近二期会が上演したとかで話題になる。筋は、借金まみれの島国の王女が神々の長ユピテルから求愛を受けるが、そっちを振ってロバ飼いの人間の男を選択する、というもの。その島国はギリシャの一部。現代のギリシャの財政危機の先触れのよう。王女様が一転質素な小屋で暮らすことになるあたりは「アサが来た」のハツのよう。ハツを見ても思うのだが、蝶よ花よと育てられてきたお姫様が貧乏暮らしに耐えられるものなのだろうか。そう考えると、いつまでも金持ち時代が忘れられずにいたハツの姑(萬田久子さんが演じる)の方が現実的に思える。CSを録画した映像の字幕を見て思ったこと。「ユノー」は「ヘラ」、「ヴェーヌス」は「アフロディティ」と訳されていた。せめて、「ジュノー」「ヴィーナス」とした方が原語に近かったのではないか。「ユピテル」は「ゼウス」にせずそのままなんだから。タイトル・ロールのマヌエラ・ウールは出色。