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暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

祇園祭2013-1 占出山と菊水鉾茶席

2013年07月15日 | 京暮らし 年中行事
                  占出山の社(会所)

7月13日(土)、菊水鉾の茶席と北観音山の曳き初めへ行くつもりでいたら、
昼頃急に雷雨があり、出鼻をくじかれました。

雨があがったので、もう大丈夫かしら? と出かけました。

山鉾の挽き初めも感動ものですが
山鉾を華麗に彩る山飾りが宵山の期間だけ展示公開されています。
ぶらぶら見て歩くのも宵山の楽しみの一つです。

最初に寄ったのが占出山(うらでやま、錦小路通室町東入)。
神功皇后が新羅出兵の折に肥前国の松浦川で鮎を釣って戦勝を占ったという
故事に由来し、 「鮎釣山(あゆつりやま)」とも呼ばれています。

占出山には他の山鉾にはない小さな社(会所)があり、ご神体は神功皇后です。
神功皇后は懐妊中に出兵し、凱旋後に無事出産したことから
「安産の神」として古くから信仰され、
社では安産祈願のお守りや腹帯を授与しています。

             

私が訪れた時にも安産のお守りを求めている女性がいらっしゃいました。
占出山の巡行順番が早いと、その年のお産は安産だといわれていますが、
2013年は12番です。

社の反対側に展示場があって、
日本三景より前懸は「宮島」、胴懸は「松島」と「天橋立」の綴錦、
新調された「三十六歌仙」の刺繍絵の水引などが展示されていました。

             

             
                  三十六歌仙(水引)と松島(胴懸)

             
                  三十六歌仙(水引)と宮島(前懸)

             
                  精巧な刺繍にうっとり

ここでバケツをひっくり返したような大雨に合い、
しばらく展示品と稲光の空を眺めながら雨宿りです。       

小雨になったので菊水鉾の茶席へ向かいました。
歩いて5分もかからない近さなのですが、途中雨宿りをしながら・・・。

               
                  雨の菊水鉾
茶席は会所の2階で、
初日は昨年と同じ、裏千家流の鈴木宗博先生のお席でした。

鈴木先生のお点前でしたが、途中からなので拝見できず残念・・・。
鈴木先生もお運びの方も涼しげな浴衣姿で、祭りらしさを感じます。
雨にもかかわらず着物姿の女性がたくさん参加しているのにもびっくり、
白い菊皿にのった「したたり」(亀廣永製)が運ばれ、
刷毛目の数茶碗で薄茶をたっぷり頂戴しました。

               

               
                  菊水鉾の茶席にて

                    

目を惹いたのは水指で、菊水鉾のような水指でした。
これは13日限り・・・と会記にありましたが、何の説明もお話もなく、
ものたらなく感じたのは私だけでしょうか?
宵山の山鉾で唯一の、皆が楽しみにしている茶席なのですから
一席ずつ時間と人数を決めて、もう少し丁寧に応対して頂けないかしら?
トコロテンのような押し出し方式が残念に思いました・・・。

               

気を取り直して「北観音山」の曳き初めへ向かいました。
また、雨が・・・・。

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夏の京都を愉しみたい

2013年07月12日 | 京暮らし 日常編
                 コンチキチ・・祇園祭の鉾と提灯

今週末から祇園祭はいよいよクライマックスを迎えます。
京都では連日35度の猛暑日となっています。

「京都の夏は暑いそうなので、熱中症に気を付けてね!」
「京都の冬の寒さは厳しいですが、如何ですか?」
たくさんの方からお声を掛けて頂きました(アリガトウ・・)。

「徒然草」の第五十五段に
    家の作りやうは、夏をむねとすべし。

とありますが、本当にそうだな・・・と実感しています。

少しでも涼を感じたい・・と、半分だけ入れ替えていた簀戸(すど)を
全部簀戸にしてみました。
簀戸は8枚、前住人Sさんが置いていってくださったものです。
京都らしい夏座敷に変身してステキ・・・。

窓を全開し、竹で編んだ敷物、庭や土間の撒き水、
風の訪れを知らせる風鈴やのれん、シャワーと団扇、
寝床に茣蓙を敷いたり、暑さを和らげる工夫をして、
時にはクーラーや扇風機のお力を借ります。

               

               
                    京の町と心を潤す鴨川の流れ

東西にある小さな庭からさやさやと風が座敷を通っていきます。
西に鴨川が流れ、この川が天然クーラーとなって、
熱くなった大気が川面で冷やされると、風が起こります。
東からの風は東山連峰があるので、ひんやりして快適です。

どうやら軒かたぶき隙間の多い灑雪庵
「夏をむねとすべし」の作りとなっているらしく、
京都の酷暑を何とか乗り越えられそうです。

               
                       大蓮寺の蓮

               
                     たまにはカキ氷もね!

もう一つは、暑いけれど夏の京都を積極的に愉しみたい・・。
先ずは「祇園祭」、
昨年の北観音山の追っかけも面白く充実していたけれど、
今年は16日の祇園祭献茶式と17日の山鉾巡行を愉しむ予定です。

             
                    建仁寺の玄関にて

12日~14日の建仁寺暁天講座
13日~16日の菊水鉾の茶席
13日から始まる第38回京の夏の旅2013 「文化財特別拝観」
それから
13日~8月4日の法金剛院の観蓮会へも行きたいし、
黎明教会資料研修館の「夏季美術展 (7月3日~8月18日)」も見逃せません。

                                    

思い切って「夏の京都」へいらっしゃいませんか?
                                   


文月の自主稽古

2013年07月10日 | 自主稽古(京都編)&奥の細道会

7月5日は文月の自主稽古の日でした。

10時過ぎに自転車で一保堂へ。
お店には外人観光客20名ほどが溢れていて・・・びっくりしていると、
すかさず店内から現われた男性がテキパキと応対、さすが京都の老舗です。
すっきりとした渋みが旨さを引き立たせる「青雲」を購入しました。

一保堂裏にある菓子舗「松彌」へ寄って、「金魚」を3匹連れ帰りました。
この時季になると、味わいたくなる和菓子の一つです。

              
                       「一保堂」
             

京都は連日蒸し暑く、気温は30℃以上、湿度は90%以上です。
正直、着物をきたくありません・・・。
暑いけど真剣だった夏期講習会を思い出して気持を引き締め直し、
ブルーグレーの絽の着物と百合の絵柄の帯を締め、
冷房と冷茶を用意してお二人を迎えました。
すると、濃い色目の涼しげな着物姿でいらっしゃいました。

              
                       「梶の葉」

              
Sさんが「祇園守り」と梶の葉を持ってきてくださいました。
「祇園守り」は、祇園祭の頃に咲く白い大輪の木槿で、
唐子のような花しべが豪華です。
早速、賀茂川の花入へいけたのですが、一日花なので
写真を撮る頃にはしぼみかけてしまい、残念!

              
                「シロギオンマモリ」

文月の課目は、
真之行・台子点前、大円之真・台子点前、茶通箱です。
さらに明日の稽古(先生宅)で茶通箱付花月が担当になっているので
四畳半花月でお付き合いを願いました。

真之行と大円之真を続いて稽古したので、
その違いや曖昧な箇所もわかり、質問も出ました。
質問が出ると、意見交換し、それでもわからない場合は宿題になります。
習い方が違っている場合もありますので、意見を横並びにして、
その中から「私はこうかしら・・・」と、自分で選んでもらいます。

順番はだいぶ身についてきましたので、その先(?)の質問が飛び交います。
例えば、膝行の時の目線は? 
真で火箸を杓立から一本ずつ取り置きするのは何故?
茶筅を筅皿の上方に置く位置は真之行と大円之真では違うのか? 
違うとしたらその理由は?
揉み手の仕方と目線は?・・・などなど。

宿題は各自持ち帰り、回答が出ると、次回の稽古またはメールで
教え合うことにしています。
1ヶ月先の稽古より、鉄が熱いうちのメールの方が嬉しいです。

              
                  涼しげな「金魚」(松彌製)
                   

茶通箱の稽古は台子をそのまま使うことになり、
「わん けん ばし・・」と、頭の体操をしながら
茶通箱の点前と花月の違いを考えながら、汗をいっぱいかきました。

次に三人で四畳半で茶通箱付花月です。
初めての経験でしたが、全員お役をこなして、
これはこれで充実していたような・・・来月も宜しくお願いします!

                              暑いから 

文月の自主稽古
  床  「心清寿年長」   紫野 宗興和尚
  花   利休草 ブラックベリー 紫の小菊
  花入  鉄製釣り花入
  台子と皆具一式など

  茶  青雲(一保堂) 丹頂の昔(一保堂)
  菓子 金魚(松彌製) 浮島(暁庵製) アメリカンチェリー

                                
          自主稽古 前へ       次へ

 

京都で読む徒然草

2013年07月08日 | 京暮らし 日常編
最近、「京都で読む徒然草」を読みました。
作者は松村栄子さんです。

ひょんなことで松村さんが我が家・灑雪庵へいらっしゃることになり、
少しあせりました。

             

松村さんの著書「ひよっこ茶人の玉手箱」「雨にも負けず粗茶一服」、
それに芥川賞受賞作「至高聖所」を読んでいたにもかかわらず、
全て横浜へ置いてきて、手元に一冊もありません。

それで、「京都で読む徒然草」をあわてて購入しました。
松村さんの感性が光るエッセイ部分に心惹かれて、一気に読みました。
感想はいろいろあるのですが、松村さんが紡ぎ出す兼好法師像が新鮮で、
改めて人間・兼好さんに興味を持ちました。

             

             

早速、兼好法師と関係があると思われる、ご近所の吉田神社へ

「・・・あのぅ・・徒然草の兼好法師に関係することで、
 何か、吉田神社に伝わっていることがありますか?」

すると、宮司さんらしき人が穏やかに応対してくださって、

「兼好法師は出家されて神職を継がなかったので、
 当吉田神社には何も伝わっていません。
 けれど、兼好法師と関係があったと思える吉田家は吉田中大路町にあって、
 大元宮の下にある朱の大鳥居の南側の一画がそうでした。
 太平洋戦争後まで大きな屋敷が残っていました。
 時代はわかりませんが、吉田家のお姫様が御所に仕えていらして
 御所へ通うために吉田中大路町から近衛通を通って荒神橋へ至る道が
 他所よりも広く整備された・・と聞いています」

宮司さん、ご親切にありがとう!

             

                          

本のあとがきに書いてあるように、兼好法師の経歴や生い立ちなど
確かなことはわかっていないそうですが、そのことを納得しながらも、
吉田神社の境内や吉田山を駆け抜ける兼好さんを追いかけていました。

・・・そして、前から不思議に思っていた、広すぎる道路の謎が少しわかって
嬉しい気もしたのです。

             

さて、「京都で読む徒然草」に立ち返ると、
松村さんの感性で大胆に、いくつかの段をまとめて章立てしているので、
兼好法師の脳の奥底にあるものがわかりやすくなり、
兼好さんにとても親しみを感じました。
特に「京の夏、京の美学」「友人の条件」「努力という名の才能」の章が好きです。
エッセイ部分も含めて一読をぜひお薦めです。

本にサインをもらっちゃいました! 
またどうぞ遊びに来てくださいまし。
                         

             

  本の紹介:「京都で読む徒然草」松村栄子著、
        京都新聞出版センター(定価1333円+税)

       (写真は昨年6月の京都吉田山大茶会(於吉田神社)です)



比叡山 雲母坂から登る

2013年07月07日 | 京暮らし 日常編
                   頂上からの大パノラマ

6月29日(土)、比叡山へ初めて登りました。

朝遅く起き、洗濯物を干しながら
「梅雨なのに今日は好いお天気ね」と相棒に話しかけると、
「せっかくのお天気だから比叡山へ登ろうか?」と元気な一声。
「えっ!今から・・・」と思いましたが、その日は絶好のハイキング日和でした。
「そうねぇ~。頑張って登ってみましょうか」

急遽、スポーツドリンク、弁当、饅頭を買い込み、バスで「修学院道」へ。
比叡山へ登るなら先ず雲母坂(きららざか)から・・と決めていたのです。
鷺森神社(左京区修学院宮ノ脇町)から関西セミナーハウスを目指し、
比叡山西参道の「雲母坂」へ着きました。

              
                    鷺の森神社付近の田園風景
              
               きらら坂と書かれた道標

登り口の案内板に次のように書かれています。
  雲母坂は、平安時代より比叡山と都を結ぶ主要通路として賑い、
  都からの勅使が通ったことから勅使坂とも呼ばれました。
  法然、親鸞をはじめ多くの人たちもこの坂を行き来しました。
  比叡山の山法師が神輿を担いで都へ強訴に押しかけたのも
  この道とされ、南北朝の戦乱ではこの坂が戦場となり、
  多くの将兵の血に染まりました。
  雲母坂の名は付近の花崗岩に含まれる雲母のきらきらした
  輝きから、こう呼ばれたと言われています・・・(後略)

修学院離宮の裏山に沿って、雲母坂の古道を登って行きました。
急な坂道は深くえぐられて、谷底を歩いているようです。
神輿を担いで都へ強訴した時代にはもっと空が近く、明るい道だったかも?

              
                  修学院離宮へ続く導水路

              
         雲母坂を行く               露出した花崗岩の道   

薄暗い道には、ステキな贈り物がありました。
露出している花崗岩の雲母がキラキラと煌めいている場所があり、
緑の苔の間からも宝石のように光りだし、まるで精霊たちが隠れているようです。
映画「もののけ姫」の木霊たちが現れる山道を思い出しました。

              
                      心清逢精霊

・・・やがて、その煌めきも消えて、
風が通わない谷底を喘ぎながら登って行くこと1時間、
やっと中間点の「水飲対陣趾碑」に着きました。
「京都一周トレイル」のコースと合流したらしく、たくさんの男女が
軽快に私たちを追い越して登って行きます。
杉林の山道を行くと、この地で戦死した南北朝時代の後醍醐天皇の側近、
「千種忠顕」の立派な石碑があり、びっくりです。

               
                    千種忠顕の石碑

              
                    京都市街の展望

ロープウエイ比叡山駅近くの展望台に着き、ここで昼食です。
出発が遅かったので14時近くになっていました。
それから車道のような広い道を通り、スキー場の横を抜けて
比叡山(四明岳838m)の三角点を探しました。

すると、先日テレビで宣伝していた「ガーデンミュージアム比叡」へ
行き当たりました。三角点はどうもガーデンの反対側らしく、
甘い香りが漂うバラ園の誘惑に負けて、ふらふらっと園内へ。
でも、これが大正解でした。

              
                    琵琶湖側の眺望

テラスで琵琶湖側の大パノラマを見ながらソフトクリームに舌つづみ。
展望台からの360度の眺めも圧巻で、登って来て良かった!
今が見ごろのバラ園や山野草を愛で、点在する陶板の名画に心惹かれ、
実物そっくりのモネの睡蓮の池を散策するのも楽しく、また来たい花園です。

              

              

疲れて帰りはバスに乗り、家の近くまで送ってもらいました。