暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

骨董市と銅鑼

2009年12月09日 | 茶道具
大和駅プロムナードで第三土曜日に開かれる
骨董市へ出かけました。今回で二回目です。

一軒一軒、掘り出し物を見てまわるのって
宝さがしのようで楽しく、時間があっという間に
過ぎてしまいます。

お店はたくさんありますが、なかなか目に留まるものが
ありません。
無理して買わなくてもよいのに、二つ買い物をしました。
一つは西洋アンティーク風の筆立て。
見立てで蓋置に使えそうです。
もう一つも蓋置で、紫交ちの蝶模様です。

奥の方にタイ製品を売っている出店がありました。
宋胡録(すんころく)でしょうか、
古い壷やキンマの塗物もあります。

大小の銅鑼が吊るされているのを発見。
早速、打たせてもらい、音を確かめていたら
「お茶に使うのですか?」
男の方に声を掛けられました。

思い切って一番大きな銅鑼を買いました。
見た目は良くないのですが、音が良かったのと、
お値段に惹かれたのです。
お値段はナイショですが、1500円まけてくれました。
値引き交渉も骨董市の楽しみの一つです。

我家の茶事で活躍してくれそうですが、
「安物買いの銭失い」にならないようにしなくっちゃ。

今、銅鑼打ちにはまっています。
茶事では打ち直しができないので、
毎日一回だけ真剣勝負で打つ練習をしています。

打った後に銅鑼をゆすると、音が良くなる(余韻が出る?)と
聞いた事があるので、これも試し中です。
大・・・小・・大・・小・・中・中・・大
の七点打ちです。

当分、ご近所迷惑が続きそうです・・・。

               

感服係り

2009年12月06日 | 茶道楽
茶事入門教室(第2回)を終えてHさんからメールが届きました。
一部紹介させていただきますね。

「お正客のI 様の問答が素晴らしくてとても勉強になりました。
 お道具が綺麗だなとか、料理が美味しいなと思っても
 なかなかどう表現すれば良いか分からなかったんですが、
 I 様が本当にいろいろな言葉で伝えていて素敵だなと思いました!
 私もボキャブラリーが豊富になるために本を読んで勉強したいです。」

・・・そうなのです。
「もう心臓がパクパク言って、ご亭主に聴こえたのでは?」
と、I さんは言ってますが、とても素直にお心こもる言葉で
感想を述べられ、私も感心して聴き入ったのでした。
そして、体全体で「感服」を表現しているように思われました。

今、「近代数寄者の名茶会 三十選」(熊倉功夫編)
を読んでいます。
明治から昭和十年頃にかけて花開いた数寄者たちの
茶会記を解説を交えて紹介しています。

その中で、高橋箒庵は馬越化生(恭平)という茶人のことを
「客となれば感服係りの随一にて・・・」と、
客ぶりが当時の人々のお手本になったと書いています。
「感服係り」という言葉に思わず吹き出してしまいました。

高橋箒庵が経験した感服の仕方には七種あって、

第一に唸り声を出して感服すること
第二に暫時瞑目して感服すること
第三に顔を見つめて無言に感服すること
第四にヘッヘッヘッ-と世辞笑いして感服すること
第五にフウフウと鼻息を荒くして感服すること
第六に尻餅をつきグニャグニャとなって感服すること
第七に品物を頭上まで差し上げて感服すること

馬越化生はこの七種の感服を兼ね備えていたそうです。
「すごいですねぇ~
 きっと茶会は大いに盛り上がったことでしょう」

客となれば亭主の心に添って、感服した事柄を
亭主や相客に伝えることがとても重要だと思います。

言葉も大事なのですが、Iさんに見習って
言葉に頼らない感服の所作を身につけたいな・・
大げさでなくとも素直に、ステキに、感服を伝えたいな・・
と思いました。
          (次へ)              


   写真は、「秋の終りの春草廬」(三渓園提供)

追記  馬越化生翁の顔写真を探しています。
    ありましたら是非ご一報ください。
    恵比寿さまに似ているとか?
        

茶事入門教室(第2回)を終えて (2)

2009年12月04日 | 茶事教室
     (つづき)

後座の床にはふっくらした蕾の白椿(加茂本阿弥)と
照り葉(ニシキギ)が生けられています(写真)。

室が水を打ったように静かになり、ご亭主のS先生が練る
濃茶の香りが清々しく満ちてきました。
「とても美味しゅうございます」
お正客の声音が美味しさを語っていました。
重ね茶碗でもう一服、中正客のMさんの所作も堂々としています。

お詰のOさんが茶碗と古袱紗を拝見へ持って出る時、
裏千家流とちがうことに気づきました。
「どうぞ、ご流儀の仕方で・・・」
裏千家流では茶碗を左手に持ち、
右手で古袱紗を持って茶碗に添えて運びますが、
大日本茶道学会では古袱紗を縦に折って左手に乗せ、
その上に茶碗をのせて運びます。
いろいろあって興味深いですね。

茶入は瀬戸肩衝、茶杓は・・・。
「茶杓のごま竹の景色、貝先のお形が見事で、
 御銘を伺うのを先ほどから楽しみにしておりました」とお正客。
「福本積応師作の瑞雲でございます」
「今日の炉開きにふさわしい御銘の茶杓を拝見できて
 幸せでございます」

後炭になり、再び炉中拝見です。
この瞬間が楽しみで、見て頂きたいポイントの一つです。
炭の流れ具合が趣き深く、時の移ろいを映し出します。
ご亭主が胴炭を見事二つに割りました。
後炭では太い胴炭をそのまま生かすことが多いので
実はめったに見れないことです。

さじ香で香が焚かれ、湿し灰がたっぷり撒かれました。
輪胴が入り、初炭とは違う炭の取り方、置き方を拝見しました。
点炭で元の座に戻り、釜が清められる湯気と
濡れ釜の一瞬を鑑賞しました。
後炭は見所満載でしたね。

文透かしの煙草盆に緑釉の火入れが映えていました。
干菓子は吹き寄せ、竹の箕に盛られています。
薄茶の主茶碗は萩の俵、替茶碗は京焼きで六瓢の絵、
薄器は菊蒔絵の中棗です。
お正客から蓋置(赤楽)の拝見所望がかかりました。
そして・・・

「聞き忘れておりましたが、建水は?」
「備前でございます」と、ご亭主はにっこりです。
「塩げのようなお形の、趣ある建水ですね。
 これで最後の伊部(いんべ)がでて、やっと三べが揃いましたね」
と、お正客もホッとして嬉しそうでした。 

こうして二回目の茶事教室が一座建立のうち終了しました。
最後の挨拶の時に
「こうして此処に居ることがとても幸せでした・・・」
三客のYさんのお言葉がじぃーんと胸に響きました。

次回は3月の雛祭りの頃でしょうか? 
私も楽しみにしています。

                       


茶事入門教室(第2回)を終えて (1)

2009年12月02日 | 茶事教室
茶事入門教室(第2回)が11月29日に無事終わりました。
私事都合により1ヶ月延期していただきました。
それにもかかわらず、一人も欠席なしで参加して頂き、
感謝しております。
新しく Iさんが加わり、お客さまが八名になりました。
ありがとうございます。

二回目は、「亭主の趣向を楽しむ」というテーマです。
9月は「竹取物語」でしたが、茶人の正月と言われる
11月ですので「炉開きの茶事」としました。

茶事の流れにのって、茶事を楽しんで欲しい・・と思いました。
懐石では千鳥の杯、また、主客の問答を味わうこと、
ご亭主のS先生のお点前、そして道具の拝見を
ポイントにしました。

お正客は「茶事教室の応援をしたいの」と参加してくださったIさん、
中正客は茶道を始めて半年?のMさん、
詰は前回のお正客のOさんです。

待合の色紙は、森下隆子さん作の「栗」の布絵です。
二回目なので席入りもスムースで、濡れ釜の風情を
全員鑑賞することができ、嬉しいです。

床の掛物は、橋本紹尚師筆の「室静茶味清」です。
「室静かなれば茶味清し と読んでおりますが、
 茶禅一味をさしている言葉のように思います・・」とご亭主。
淡々斎お好みの寿棚、水指は桶川です(写真)。

利休七則 「夏は涼しく 冬あたたかに・・」を引用し、
風炉と炉では初炭の順序の違うことをお話しました。
炉中拝見では菊炭が程よく熾り、湿し灰の風情、
炭の置き方にみんなで見惚れました。
茶人の正月の縁起物として、よく三べが使われますが、
炭斗は大き目の瓢(ふくべ)、香合は織部(おりべ)でした。
さて、もう一つは? 

懐石がすぐに出ませんでしたが、茶事ではたまにはあること、
そんな時にお正客にお助けいただいたある茶事の話をしました。

懐石のハイライト、千鳥の杯です。
二組に分けて、千鳥の杯をゆっくり体験していただきました。
ちょうどこの頃に湯が沸き、松風が聴こえてきました。
主菓子は粟ぜんざいで、柿、栗、香の物添えです。

        (つづく