東京国立博物館の「皇室の名宝2展」へ出かけました。
雨の中、待ち時間20分の行列に並びました。
入場すると最初の展示コーナーで全く先へ進みません。
押し競まんじゅう状態で銅鏡や女性の埴輪(頭部)を
見ましたが、忍耐がいりますね。
展示された銅鏡は奈良近くの出土ですが、
一つだけ群馬県富岡市出土の「三角縁竜虎鏡」があり、
古墳時代にこれだけの銅鏡を持つ地方豪族がいたことに
興味を持ちました。
始めのコーナーを過ぎると少しすいてきましたが、
全部を見るのにかなりの気合が必要でした。
特に印象に残った展示品を三つあげると、
一番は古筆です。
いつも書はわからず素通りなのですが、今回は違いました。
今までお目にかかれなかった三筆の空海、嵯峨天皇、橘逸勢
三蹟の小野道風、藤原佐理、藤原行成、
そして藤原定家、伏見天皇、西行の書などが目白押しです。
中でも橘逸勢(たちばなのはやなり)筆という
「伊都(いつ)内親王御施入願文」に心惹かれました。
六歌仙の一人、在原業平は伊都内親王の一人子です。
生母、藤原平子の遺志をついで興福寺へ田畑を寄贈し、
一族の菩提と繁栄を願うという願文ですが、
散りばめられた内親王の小さな朱の手形に、当時の勢力争いの
暗雲を見る思いがしました。
願文の筆者である橘逸勢は、後年藤原氏の陰謀により
無実の罪をきせられ失脚しています(承和の変)。
願文の最後に書かれた内親王の自筆「伊都」も必見です。
二番目は正倉院御物です。
古代ペルシャ、トルコ、イランなどの異国の風を
今に伝えて輝いていました。
お気に入りは「螺鈿紫檀げんかん」という楽器です。
「げんかん」は竹林の七賢の一人で、
この楽器を奏でていたことから名がついたそうです。
月琴のような形をしています。
「げんかん」に散りばめられた螺鈿細工、特に裏面の
二羽のオウムと宝綬の螺鈿が華麗で、エキゾチックでした。
これを愛玩した聖武天皇とはどんな方だったのかしら?
三番目は刀剣です。
相州正宗が鍛えたという二本の名刀、
「刀 無銘 正宗(名物若狭正宗)」と
「短刀 銘 正宗(京極正宗)」に魅せられました。
刃文の静謐な美を感じる一瞬が何とも言えません。
約2時間、夢中で見て廻りました。
しばし休憩の後、本館へ行き、誰もいない国宝展示室で
国宝「法華経」(静岡鉄舟寺)をゆったり拝見しました。
茶道具の展示室では「黒薩摩の茶入」と「有楽井戸」
に対面してきました。
これらの出会いも「皇室の名宝展」に劣らず、良かったです!
写真は「上野公園の紅葉」です。