今から二年前の平成十九年三月、八十八番大窪寺にて
丸三年かけた四国遍路がついに結願しました。
昨年二月に横浜市長屋門公園の古民家にて
四国遍路をテーマとした茶事も行うことができ、
私なりに終結したつもりでした。
それなのに・・・
再びお遍路さんへ出かけたくなったのです。
「あんなにきつく苦しかった遍路へどうして・・・」
と自分でも不思議なのですが、
四国遍路へ誘われる心が次第に強くなってきます。
「またお遍路さんへ行きたくなったけれど、
一度も廻っていない貴方に悪いから、
貴方が行ってからにするわね」
と、自分の気持ちを抑えるために、ある日、口に出してみました。
愛媛県出身の夫は
「生涯で一度は遍路へ行ってこそ一人前」
という郷土の教えを受け継いでいる人で、
「仕事を終えたら四国遍路を通しで廻りたい!」そうです。
四国遍路はいつも私たち夫婦の共通の話題であり、
課題なのです。
始めての四国遍路は、
一番霊山寺から十一番藤井寺までゴールデンウィークの
休暇を利用して二人で出かけました。
その後、仕事が休めない主人を置いて
私だけお先に廻らせてもらいました。
「いつでも行ける訳ではないから、行ける時に行った方がいいよ。
僕は仕事を辞めたら通しで行くから、遠慮せずにどうぞ!」
思いがけないエールが返ってきました。
それで、私の心は決まりました。
三月始めのことです。