暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

春草廬・有楽茶会 (3)

2009年11月12日 | 三溪園&茶会
第三席目(聴秋席)のお正客は、インターネットのお茶の仲間で
茶事や茶会をご一緒したSさまです。
ご連客さまも茶事を通して親しくさせていただいている方々でした。

午後になって九つの窓から差し込む陽光が淡くなってきました。

心をこめて濃茶を練りました。
「大変美味しゅうございます」
濃茶は「万歴の昔」、伊藤園の詰です。

「お菓子も栗餡がとてもおいしく、いただきました」
前席(広間)で召し上がっていただいた菓子銘は「山里」です。

茶碗は、一行窯の安田道雄作の井戸。
緑色の有楽緞子の古袱紗を添えました。
茶入は、十五代沈壽官作の薩摩焼の胴締めです。
茶杓は、後藤瑞巌和尚作の「無事」、
しふくは「大黒屋金襴」でした。

薄茶は「彩晶の輝(翆晶庵詰)」、干菓子は「吹き寄せ」です。
紅葉、松葉、銀杏、松笠、松茸の五種を箕に入れて
お出ししました。
主菓子と干菓子は全て翆晶庵・横山和子さんの手作りです。
とても美味しいと好評で嬉しいです。

楽しい時はあっという間に過ぎて、最後の挨拶になりました。
昨年7月の「蓮見の朝茶事」でKさまに唄っていただいた
「蓮の花」の歌を再び所望いたしました。

      

  蓮の花が咲いている
  問われた問いは大きくて
  問われつつ身をゆだね
  咲くほかないというように

清らかな歌声が春草廬を満たし、心を満たし涙が溢れてきました。
今日の茶会とKさまの歌声は一生忘れることはないでしょう。

最後にめそめそしてしまい、申し訳ありません。
ご連客のIさまから嬉しい便りが今日届きました。

「時の流れを越えてタイムスリップした不思議な一時
 何ともいえぬはりつめた春草廬の空気
 秋色の濃い景色の中、おいしいお茶をいただき
 体が溶けて自然に帰りました。
 お茶の原点を味わった気がしました・・・Iより」

     (前へ)       (有楽茶会 次へ)

                        

   写真は「秋の蓮池」(だちくゎんさま提供)と「蓮の花」です。
           

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。