暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2021年文月の教室だより・・・茶杓の銘

2021年07月18日 | 暁庵の裏千家茶道教室

      (大山は雨降山とも言い、雲がかかると雨になる

 

久しぶりの教室だよりです。

雨続きの昨今ですが、水無月(6月)から文月(7月)にかけて3回も杜鵑(ホトトギス)の鳴き声を我が家で聞くことができ、とても感激しました。

一度は明け方のまどろみ中、後の2回は昼間の庭先で「キョッキョッキョキョキョ」って聞こえたような・・・。

「ホトトギス」という銘の茶杓が手元にあります。利休所持の茶杓の写しで、本歌は三井記念美術館にあるそうですが、いまだご縁がありません。

この茶杓を購入した訳は、次の説明文と写真(茶杓と筒)に惹かれたからです。

   さび竹ながら美しく漆拭きがよく透けています。

   腰高く蟻腰で節からゆがみがあって景色となっています。

   本歌は真筒の面取りで、利休筆の「ホトゝキス」とあります。

   利休時代には珍しい季節銘で後世の先駆をなしています。

昨年5月のM氏の初風炉の茶事で使うつもりでしたが、コロナウイルスの緊急事態宣言が出され、登場の機会はなくなってしまいました。今年の朝茶事は開催するかどうか微妙ですが、早く使ってあげたいです・・・。

 

            (我が家の愛杓たち)

お稽古中に茶杓銘をお尋ねしますが、いろいろ考えてくださって素晴らしい茶杓銘が登場するととても嬉しいです。一本の茶杓と銘が醸し出す季節感や情景、そしてお点前さんのお話しする物語りに心打たれるのです。

最近では次の茶杓銘に感動でした・・・

「催涙雨(さいるいう)」・・・7月のS先生の東京教室で洗い茶巾のお稽古の時、お点前のIさんが付けた茶杓銘です。

「催涙雨」は陰暦7月7日の七夕の日に降る雨のことで、牽牛と織姫が逢瀬のあとに流す惜別の雨とも、逢瀬がかなわなかった哀しみの雨だそうです。

1年にたった1度でも永遠に続く、暁庵にとって憧れの逢瀬ですが、いろいろ苦労もありそうですね・・・。

菓子は朝顔模様の練り切りでしたが、菓子銘が「もらい水」。加賀の千代女の俳句「あさかおに 釣瓶とられて もらい水」から付けられました(こちらもステキでした・・・)。

 

       (7月になると登場する「七夕」の掛物)

「虎が雨」・・・4月から暁庵の教室に入門されたY氏が6月の薄茶平点前のお稽古で付けた茶杓銘です。

陰暦5月28日に降る雨のことで、「虎が涙雨」「曽我の雨」とも言います。

鎌倉時代のこの日、曽我兄弟が父の仇である工藤祐経(源頼朝の家臣)を富士の裾野で討ち果たしますが、兄の十郎祐成は戦いのさなかで討ち死にし、弟の五郎時致は翌日処刑されました。「虎が雨」は兄十郎の愛人で、大磯の遊女であった虎御前が流す涙雨と言われています。

大好きな雨の名前を茶杓銘に使ってくださってもう感動しました。

 

             檜扇水仙(情熱的な花の色に虎御前を重ねて・・・)

 

「涼み舟」・・・昨日のお稽古で、Uさんが葉蓋と洗い茶巾のお稽古に用いた茶杓銘です。

その銘を聞いた途端、涼やかな川風がさっ~と茶室を吹き渡り、能のあるシーンが頭をよぎりました。

能「江口」です。三人の遊女が川遊びをしている、美しくもはかない情景が目に浮かんできたのです・・・。

その日は各地で今年最高温度を記録したそうで、横浜の最高温度は33℃でした。

今日にも梅雨明け宣言が出そうですが、雨の日の稽古も(豪雨でなければ・・・)また好し!ですね。   

 

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