「日日是好日」 前大徳 柳生紹尚和尚筆
茶杓4本をテーブルに並べました。
4月から夏にかけて茶事で使いたいと思っていた茶杓たちですが、当分出番はありません。
しまい込む前に少しでも色艶がよくなるように・・袱紗でせっせと拭いています。
1本目、銘「好日」という古竹の茶杓。
禅語「日日是好日」に由来する銘が好ましく、節から上部と下部とで景色がまるで違うので、物語りを感じます。
せっせと袱紗で拭いていると艶が出てきて(ツレは気のせい・・と言いますが)、今一番のお気に入りかも。 近い将来にこの茶杓を使うことができたら~と切に願います。
(ソメイヨシノと八重桜が帷子川のあちらとこちらで咲いていました)
(ギャラリー&カフェ「寧」の看板)
2本目は銘「寧(ねい)」、煤竹で節の上部にある数本の樋が美しい茶杓です。
2017年6月にギャラリー&カフェ「寧」で開催された染谷英明氏の茶盌展がご縁で、いろいろ不思議な出逢いがありました(詳しくは「茶杓寧のこと」をご覧ください)。その時に「寧」という銘の茶杓が欲しくなり、染谷英明氏(趣味で茶杓を削っています)に削っていただきました。
しばらく使っていなかったので、そろそろ茶事に使ってもらいたいです。
(潮騒とサンセット・・・四国遍路・室戸にて)
3本目は銘「颯々」、銘が気に入って求めた茶杓です。
「颯々」とは、風の音や風の吹くさまという意味ですが、四国遍路中に聴いた自然のサウンドを思い出します。
遍路笠を吹き飛ばすような強風の音、汗ばむ頬を優しくなでる風の触感、騒ぐ心をなだめるような波の音、宿からの出立をためらうような雨の音、小さなお堂に降りこめられた時の雨音、険しい遍路道の鈴のね・・・・。
白竹の茶杓は素朴で自然体で何の変哲もないのですが、語りかけてくる「颯々」にいつも圧倒され、勝手に感動しています。
白竹なので拭いているうちによくなるかしら・・・(何処からか、「その茶杓はそのままで、ありのままでよいのだよ・・・」と言う声が聞こえてくような・・・)
(昼咲月見草と古い道しるべ・・・四国遍路にて)
4本目は銘「ホトトギス」(利休写)。白竹の華奢な茶杓で、蟻越しの節から上に少しゆがみがあります。
横浜の自宅近くではホトトギスの鳴き声を聞いたことがありませんが、2019年5月末、四国遍路中の明け方に2度も聞けて、もう大感激でした。
ゆきやらで山路くらしつほととぎす
今ひと声のきかまほしさに 源公忠(みなもとのきんただ)(拾遺106)
【通釈】行きすぎることができずに、山道で日を暮らしてしまった。時鳥のもう一声を聞きたさに。(千人万首より)
それで、5月の初風炉の茶事や朝茶事に使えたら・・・と求めたばかりでした。
来年になるかもしれませんが、新型コロナウイルスが終息したら・・・と出番を静かに待っています。
(藤がはや満開です・・・4月11日撮影)
さて4本の茶杓を並べて袱紗でせっせと拭いています。
時間だけはいっぱいあるので日に何回か拭いていますが、それぞれの個性やエピソードに触れることになり、元気をもらっています。