暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

岡山・クリスマスの茶事-2

2013年12月27日 | 思い出の茶事  京都編
(つづき)
後座へ席入りすると、暗くなりかけた夕去りの設えでした。
床に手燭とエキゾチックな小灯しが置かれ、お軸が掛けられています。

「無為 
 無事人」 (むい ぶじの人)

鵬雲斎大宗匠の書です。
御年90歳の大宗匠のいまの心境を表わしているのでしょうか?
正直、難しく、よく解らなかったのですが、
「あるがまま自然体に生きる(人)」
という意味でしょうか? 噛むほどに味わい深く、奥が深い語句です。 

Sさまが席へ入られ、いよいよ宿題の「お話」です。
どのタイミングで入れたらよいか、三人で考え、
夜咄のように蝋燭の灯りの元で囲炉裏(炉)を囲んで昔話を語る・・・
そんなイメージになったそうです。

           
              
お話は二つ、
一つは、グリム童話から「おいしいおかゆ」。
語り口はとても真似できませんが、あらすじは次のようです。

   むか~し、貧しい母子が住んでいました。
   森で女の子はおばあさん(魔法使い?)から古い鍋をもらいます。
   その鍋は不思議な鍋で、女の子が
   「おいしいおかゆを炊いとくれ」と言うと、おかゆを炊いてくれ、
   「炊くのを止めとくれ」と言うと、炊くのを止めるのでした。

   或る日、女の子の留守にお腹を空かしたお母さんは
   「おいしいおかゆを炊いとくれ」
   お鍋はおかゆを炊いてくれましたが、
   止めさせる言葉がわかりません。

   おかゆは鍋からあふれ、家からあふれ、町中おかゆで
   いっぱいです。そこに女の子が帰ってきて
   「炊くのをやめとくれ」
   やっとお鍋は炊くのを止め、人々はおかゆを食べながら
   家へ帰ったとさ。

         
             鳥取の名峰・大山(だいせん)

もう一つは、鳥取地方の民話「さきざきさん」。
   むか~し、あるところにおじいさんとおばあさんがおったそうな。
   二人はさきざき(先々)のためにすこしばかりお金をためておった。

   おじいさんの留守におばあさんはこの大切なお金を、盗賊に
   「おれがそのさきざきさんだよ」とだまされてあげてしまいます。
   ・・・ひょんなことから二人は盗賊たちから逆にお金を巻き上げて、
   大金持ちになったというお話です。

   短気なおじいさんと、耳が遠いおばあさんのやり取りが
   鳥取地方の方言でユーモラスに語られました。
   老い先短いおじいさんとおばあさんがさきざきのために
   貧しいふところからお金をためている所では、我が身を反省したり、
   お金持ちになって胸をなでおろしたり・・・忙しかったです。
                          客5人の

Sさま、ステキなお話を熱演してくださって、ありがとう!
Sさまのお話を聴きながら、某家庭茶事の会に入会させて頂いて
本当に好かった!とつくづく思いました。
だって、こんな素敵なお話が聞ける茶事なんて、めったにありませんもの。
これから「お話」茶事がどのように進化していくのか、楽しみです。
                                    

     岡山・クリスマスの茶事-1へ      3へつづく


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