暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

岡山・クリスマスの茶事-3

2013年12月28日 | 思い出の茶事  京都編
(つづき)
戻って、初炭から・・・。
初炭を懐石の後にしたのは、炉を囲んでのお話の時に
火が落ちないようにという、ご亭主の配慮からでした。

常盤籠の炭斗が運び出され、大講堂釜が上げられました。
実は炉壇にギリギリに見えたので心配したのですが、
珍しい鉄の炉壇でした。
姿をあらわした釜は浄清造、堂々とした存在感を示しています。

香合は織部のはじき、
十字架模様がクリスマスにぴったりと選んだとか。
練り香はご亭主が山田松香木店で自ら調合したもので、
香銘は「福音」、
キリストの教えの他に佳い音色という意味もあるそうです。

          

Sさまのお話の後に濃茶となりました。
点前座の棚は寒雲卓です。
圓能斎お好みで、玄々斎が好まれた寒雲棚を半分の
サイズにしたそうで、水指は運びになります。
蓋置の扱いや置く位置が珍しく、地板のない棚も好いものですね。
侘びた古伊賀の水指がお似合いでした。
よく煮えがついていて、熱々の濃茶を五人で美味しく頂戴しました。
茶銘はたしか小山園の「永寿」。

つづき薄茶となり、SさまとTさまも席へ入って頂きました。
ご亭主は人数分の薄茶を点ててくださったり、お道具を拝見に
だしたり大忙しでしたが、私たち客と水屋方は愉しく茶談義です。

         

蝋燭を思わせるスマートな茶入がみんなの注目の的でした。
瀬戸の蝋燭手で、五人分の濃茶がしっかり入るそうです。
片身代わりの仕覆も魅力的な裂地(亀甲華文と一重蔓ぼたん?)でした。
茶杓銘は「聖夜」、棗は玄々斎お好みの豊兆棗です。

美味しい懐石を味わい、炉を囲んで昔話に耳を傾け、
クリスマスのご趣向を楽しみながら頂く濃茶と薄茶、
いつまでもつきない茶談義の楽しさ、
こんな幸せなクリスマスはめったにない・・・と思いました。

お互いに招き招かれて、茶事を楽しみ、切磋琢磨する
仲間がいる幸せを噛みしめました。
そして、私もまた茶事に励もう・・・と勇気づけられたのです。

            

終りに、ご亭主Yさまから嬉しいメールを頂きました。

  (前略)・・・お茶事の準備は確かに大変なのですが、
  やってみるとこんなに楽しいものって他にないと思います。
  煮物椀の蓋をあけた時の歓声を耳にし
  嬉しくてちょっと涙が出そうでした。
  ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました!            
三人の素晴らしいチームワークに感謝です。   

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