知恩院の試し撞き
今日は大晦日。
12月27日、先生宅の除夜釜にお招き頂きました。
京都へ来て3回目になりますが、これでもう除夜釜へ伺うことはないかしら?
と思い、胸に込み上げるものがありました。
玄関すぐにかわらけ売りの絵が掛かり、年末らしい風情です。
寄付の小間には和漢朗詠集の「歳暮」、漢詩と和歌が右三分の一に書かれ、
紙を足して茶筅と紐が画かれていました。
読み下しが置かれていたのですが・・・・。
歳暮
寒流帯月澄如鏡。夕風和霜利似刀。
江楼宴別 白居易
風雲易向人前暮。歳月難従老底還。
花下春 良岑春道
古今
ゆくとしのをしくもあるかなますかがみ
みるかげさへにくれぬとおもへば 紀貫之
身支度を整えて、待合へ入ると、そこは灯火だけの世界、
ほの暗い中で床を拝見すると、圓能斎賛と淡々斎画、父と子の微笑ましい合筆で
「是喰 茶味深 鉄中」とあり、画は蕪と慈姑(くわい)です。
火鉢を囲み、甘酒を頂いて、すっかり温まりました。
すっーと本席への手掛りが開いて、席入しました。
八畳の広間には手燭と短罫が置かれ、床、点前座を順次拝見しました。
床に「無事是貴人」
前大徳・大徹和尚筆の身が引き締まる墨蹟に今年もまた出会うことができました。
先生のお話では夜咄の床の掛物は大字か小字(消息など)のどちらかだそうです。
端正で力強い大字の横物で、白風袋、揉紙の簡素な大徳寺表装が好ましく、
大徳寺棒は八代宗哲の塗でした。
短罫の灯りが点前座を照らしています。
薄暗い部屋の中で炉の炭火、煙草盆の火入、手あぶりの透かしから覗く火・・・
こんなに火がひそやかで美しく、雄弁だったなんて・・・火に魅せられるひと時。
S先生が入席されたので、一同、除夜釜にお招き頂いた御礼のご挨拶をしました。
早速にいろいろなお話をしてくださり、除夜釜を始められた経緯、掛物のこと、
行灯や燭台は長年掛けて好みのものを集められた話など、興味深く聞き入りました。
先生の薄茶点前が始まりました。
先月の炉開きの時は濃茶点前でしたが、薄茶点前を一同目を凝らして見つめます。
客は12名、一人一人違う茶碗で薄茶を点てて下さいました。
私は玉水焼の初代・一元作の茶碗で頂戴しました。
赤楽の筒茶碗で、箆目がすっきりと美しく、光悦を思わせる明るく柔和な印象です。
不見斎(?)の銘で「網代守」と箱書にありました。
一元は四代一入の庶子ですが、養子の宗入が五代を次ぐことになり、
楽家を離れて玉水焼を興しました。
初代・一元の茶碗で頂くのは初めてで、とても嬉しい思い出になりました。
「2服目は水屋からで失礼します・・・」
結局、2服も美味しく頂戴しました。
その間も12個の茶碗やお道具の詳しいお話が伺えて、夢のようなひと時でした。
特に印象にのこっていることは
武者小路千家・九代好々斎在判(裏千家・九代不見斎の三男)の松絵竹薄器と、
三浦宗巴作(表千家四代江岑宗佐の庶子)の華奢なつくりの茶杓(歌銘あり)。
灯火の元では黒漆のものはなるべく避けた方がベターなこと、
花ではなくセキショウの鉢植または盆石を床の間に荘ること(この日は盆石でした)、
除夜釜では必ず来年の干支のものを一つ荘り、来年への橋渡しをすること・・・。
昼食(懐石弁当)を美味しく完食し、書院に荘られた羊の伏見人形に来年の夢を託してお暇しました。
先生、奥様、水屋の皆さま、除夜釜のおもてなしを ありがとうございました!
除夜鐘を撞く 金戒光明寺にて
(今年もまた撞くことが出来ました)
「無事是貴人 目出度千秋楽」
皆さま、どうぞ佳い年をお迎えくださいませ。
来年も元気にお目にかかりましょう!
今日は大晦日。
12月27日、先生宅の除夜釜にお招き頂きました。
京都へ来て3回目になりますが、これでもう除夜釜へ伺うことはないかしら?
と思い、胸に込み上げるものがありました。
玄関すぐにかわらけ売りの絵が掛かり、年末らしい風情です。
寄付の小間には和漢朗詠集の「歳暮」、漢詩と和歌が右三分の一に書かれ、
紙を足して茶筅と紐が画かれていました。
読み下しが置かれていたのですが・・・・。
歳暮
寒流帯月澄如鏡。夕風和霜利似刀。
江楼宴別 白居易
風雲易向人前暮。歳月難従老底還。
花下春 良岑春道
古今
ゆくとしのをしくもあるかなますかがみ
みるかげさへにくれぬとおもへば 紀貫之
身支度を整えて、待合へ入ると、そこは灯火だけの世界、
ほの暗い中で床を拝見すると、圓能斎賛と淡々斎画、父と子の微笑ましい合筆で
「是喰 茶味深 鉄中」とあり、画は蕪と慈姑(くわい)です。
火鉢を囲み、甘酒を頂いて、すっかり温まりました。
すっーと本席への手掛りが開いて、席入しました。
八畳の広間には手燭と短罫が置かれ、床、点前座を順次拝見しました。
床に「無事是貴人」
前大徳・大徹和尚筆の身が引き締まる墨蹟に今年もまた出会うことができました。
先生のお話では夜咄の床の掛物は大字か小字(消息など)のどちらかだそうです。
端正で力強い大字の横物で、白風袋、揉紙の簡素な大徳寺表装が好ましく、
大徳寺棒は八代宗哲の塗でした。
短罫の灯りが点前座を照らしています。
薄暗い部屋の中で炉の炭火、煙草盆の火入、手あぶりの透かしから覗く火・・・
こんなに火がひそやかで美しく、雄弁だったなんて・・・火に魅せられるひと時。
S先生が入席されたので、一同、除夜釜にお招き頂いた御礼のご挨拶をしました。
早速にいろいろなお話をしてくださり、除夜釜を始められた経緯、掛物のこと、
行灯や燭台は長年掛けて好みのものを集められた話など、興味深く聞き入りました。
先生の薄茶点前が始まりました。
先月の炉開きの時は濃茶点前でしたが、薄茶点前を一同目を凝らして見つめます。
客は12名、一人一人違う茶碗で薄茶を点てて下さいました。
私は玉水焼の初代・一元作の茶碗で頂戴しました。
赤楽の筒茶碗で、箆目がすっきりと美しく、光悦を思わせる明るく柔和な印象です。
不見斎(?)の銘で「網代守」と箱書にありました。
一元は四代一入の庶子ですが、養子の宗入が五代を次ぐことになり、
楽家を離れて玉水焼を興しました。
初代・一元の茶碗で頂くのは初めてで、とても嬉しい思い出になりました。
「2服目は水屋からで失礼します・・・」
結局、2服も美味しく頂戴しました。
その間も12個の茶碗やお道具の詳しいお話が伺えて、夢のようなひと時でした。
特に印象にのこっていることは
武者小路千家・九代好々斎在判(裏千家・九代不見斎の三男)の松絵竹薄器と、
三浦宗巴作(表千家四代江岑宗佐の庶子)の華奢なつくりの茶杓(歌銘あり)。
灯火の元では黒漆のものはなるべく避けた方がベターなこと、
花ではなくセキショウの鉢植または盆石を床の間に荘ること(この日は盆石でした)、
除夜釜では必ず来年の干支のものを一つ荘り、来年への橋渡しをすること・・・。
昼食(懐石弁当)を美味しく完食し、書院に荘られた羊の伏見人形に来年の夢を託してお暇しました。
先生、奥様、水屋の皆さま、除夜釜のおもてなしを ありがとうございました!
除夜鐘を撞く 金戒光明寺にて
(今年もまた撞くことが出来ました)
「無事是貴人 目出度千秋楽」
皆さま、どうぞ佳い年をお迎えくださいませ。
来年も元気にお目にかかりましょう!