(散歩道・・・矢指谷戸の菜の花畑 (横浜市旭区))
昨年11月から炉の季節に「体験初炭」の稽古を始めました。
トップバッターはM氏。口切の茶事の亭主だったので、炉の準備中に「体験初炭」をしてもらいました。
毎回炭を使うので、稽古が終わったら炉中に残った炭を十能に取って火消し壺へ入れます(ただし、釜を乾かすのに必要な火種は残しておきます)。それから、湯を開けた釜を再び掛けて、釜を乾かしておきます。
(矢指谷戸・・・日陰に雪が残っています。2月撮影)
さて数日後、「体験初炭」はここから始まります。
先ず釜を水屋へ引き、炉縁をはずし、炉の四方に新聞紙を敷きます(どうしても灰が舞うので)。
灰器と灰匙を持ち出し、炉中にある炭の残り、黒ずんでいる灰、枝炭の白片を灰匙ですくって灰器へ入れます。
特に枝炭の小さな白い破片がたくさん混じっているので、頑張って出来るだけ取ってもらいます。それから、火床の高さを決め、火床を整え、四隅を掻き上げ、小山をつくり、筆を使ってきれいに仕上げます。
「先生、これはきりがないし、はまりますね・・・」とM氏。
「そうなの・・・。これで良しというところまでその方まかせですけど、けっこう没頭する(はまる)でしょう。茶事でお客さまをお迎えするための心を整える、とても良い時間だと思うの」と私。
・・・それから下火(丸ぎっちょ3本)を置き、釜に湯水を入れて掛けます(茶事の時は濡れ釜にします)。
(矢指谷戸のカヤ場)
1月に「初春の茶事」で訪れた和楽庵での一コマを思い出しました。
初座の席入りの時、ご亭主が釜を掛け忘れてくださったおかげで、なかなか見れない炉中の様子を見ることが叶いました。
美しく見事に調えられた灰、黒っぽい湿し灰の景色が緊張感を高めます。灰はフラットに均されていて四隅が隅切りされていました。火床の中央に細い炭が3本入れられて、小堀遠州流の炉中を堪能できた貴重なひと時でした。
席入りでこのような機会はめったにありませんが、裏千家流では炉の初炭の時に正客から順に炉辺へ寄って、炉中の様子を拝見することが出来ます。
「体験初炭」を実践すると、炉中の見方が変わると思いますし、ご亭主の茶事への心意気を感じる機会にもなると思うのです。
「先生、炉中の拝見の時、湿し灰の撒き方や炭の継ぎ方ばかり気になっていました。でも、炉中の灰の整え方を教わってからは見方が違うようになりました」
それを伺って「体験初炭」をしてヨカッタ!と思いながら、まだまだ稽古は続きそうです。
(わが街並み・・・道路の突き当りに横浜ランドマークタワーが見えます)