暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

許状式・・・獅子吼(ししく)を聞く

2017年09月22日 | 暁庵の裏千家茶道教室


夜ごとの虫の音がすさまじく、小さな虫たちの生命のエネルギーに圧倒されます。

9月13日(水)に許状式をしました。
許状を頂いて初めて、許状に書かれた点前をお習いすることができ、許状式は入学式でもあります。
昨年11月に入門されたTさんが初級(入門、小習(こならい)、茶箱点(ちゃばこだて))、Kさんが中級(茶通箱(さつうばこ)、唐物(からもの)、台天目(だいてんもく)、盆点(ぼんだて)、和巾点(わきんだて))の許状をめでたく拝受しました。
誠におめでとうございます!

3回目の許状式ですが、私にとっても喜びであり、坐忘斎御家元に代わって許状をお渡しするので緊張感を持って臨みます。
・・・ですから、許状式に臨むKさんとTさんはさぞや楽しみと共に緊張なさっていたことでしょう。

利休居士の画と鵬雲斎大宗匠の賛のある御軸を床に掛けました。
花入、香炉、燭台の三具足をかざり、菓子を盛った皿、撒き茶を入れた天目茶碗をお供えしました。
白い芙蓉を選び、花入にいけました。


 白い清楚な花(芙蓉)はKさんとTさんかしら?

小さな暁庵の茶道教室ですが、なるべく社中の方にも参席して頂いて、皆で許状式をお祝いしたいと思いました。
10時になると立会人のFさんとUさんも駆けつけてくださって、許状式が始まりました。

席入り後、ご挨拶し、床の御軸についてお話ししました。
利休居士の画像は裏千家・今日庵所蔵の土佐光孚(とさみつたか)による画の写し、とても穏やかな好い顔をされています。
鵬雲斎大宗匠賛が素晴らしく、誠に許状式にふさわしく、この賛に出会うのが楽しみでもあります

   今日親聞獅子吼  
  他時定作鳳凰兒        宗室(花押)


  読み下しは、今日親シク獅子吼(ししく)ヲ聞ク
        他時定メテ鳳凰ノ兒(ほうおうのこ)ト作(な)ル

  今日、利休居士に繋がる茶道の門を敲き、その教えを聞くご縁ができたことを嬉しく思います
  いつの日か、茶道の修練を重ね茶道の真髄を体得できることを願っています
  (・・・そのようにお話ししました)

許状を1枚ずつ読み上げてお渡ししましたが、読めない字があり、あわてて添付されている読み下し文を頼りました(大汗・・・)。
茶の道を歩んでいると、時に人生の荒波にもまれたり、時に健康をそこねたり・・・許状を頂いても思うように稽古が出来ないことがあると思うのですが、そんな困難な時に遭遇したらけっして無理をせずに、それでも自分なりにしっかりとした意志を持って、一歩一歩ゆっくりと進んでほしいと願っています。
頂いた許状が、道に迷ったり、回り道をしても、いつでもそこへ戻ってお茶を続けることが出来る「道しるべ」になってくれたら・・・とも思います。



許状より「唐物」を選び、不肖・暁庵が点前をし伝授しました。
「唐物」は、唐物茶入を使用する点茶法で、四ヶ伝の1つです。
四ヶ伝から上級の点前は教科書がなく、師匠からの口伝です。
KさんもTさんも初めての「唐物」をきっと目を丸くしてしっかり見ていたことでしょう。
主菓子は「庭の桔梗」(寿々木製)、濃茶は松花の昔(小山園)です。

席を移しKさんとTさんをお祝いして、皆でささやかなランチ(寿司と土瓶蒸し)を頂きました。
午後から稽古があるため一献はお預けですが、ランチタイムで緊張が解け、愉しくおしゃべりが弾みます。

その後、Uさんの初炭手前、Kさんの貴人清次薄茶、UさんとKさんの唐物と稽古が続き、とても充実した一日でした・・・・。


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