暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

白露の朝茶事を終えて・・・4 (最終)

2017年09月19日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会

     薄器の化粧壷

(つづき)
薄器は化粧壷、小林芙佐子先生に仕覆を依頼した折古美術「伯楽」から連れ帰ったもので、大名の化粧道具の離れと伺っています。

小堀遠州流のKさまからメールが届き、薄器と大津袋について興味深い感想を寄せてくださいました。メールを掲載させていただきます。

  Kさまより
「白露の朝茶事」では、ありがとうございました。
折に触れ、心の中で反芻しては、またいろいろな思いが湧いてくるのを感じております。
皆さまとご縁が繋がりましたこと、
何よりも暁庵さまの真摯なお志を一会の客としていただけたことを、有り難く存じております。
私も先人の跡を辿り、お茶を通して共に喜び、共に感動できる時間を持ちたいと願っております。

・・・後礼のお手紙では申し上げなかったのですが、一つお道具の中で、
極しぼ縮緬の紫根の大津袋が、大名道具の化粧壺を見立てたお茶器になんと合うものか、と印象深く感じました。
なるほど古裂でなく、柔らかな縮緬が素敵だなぁと。被布衿を着た姫君のようでした。
拙い感想で申し訳ありません。

また機会がございましたら、お声掛けいただければ幸甚に存じます。
暁庵さまにはまだ万全ではないご様子ですが、どうぞ御身お大切にお過ごしくださいませ。
皆さまも、またのお目もじを楽しみに致しております。    Kより



     紫縮緬の大津袋

Kさまへ  
大津袋は裏千家流独特のお点前と思いますので、以下を書き添えます。

利休の時代には棗が濃茶に使われることがよくあり(もちろん現代でも・・・)、その時の扱いとして包袱紗と大津袋があります。
大津袋は主に紫縮緬でできていて、利休の妻・宗恩が、大津から京都に米を運ぶ米袋にヒントを得て考案されたと言われています。
・・・ここからがちと問題あり・・・なのです。
包袱紗や大津袋の場合、必ず黒無地の棗が約束で、それも時代のあるものを・・・とお習いしています。
今回大津袋を使ったのは仕覆が間に合わなかったせいですが、呼び継ぎの鮮やかなガラス茶入に無地紫の大津袋がお似合いだったという声も聞かれました。
また、Kさまのご提案のように化粧壷に着せてあげたら、どんなにかお似合いでしょう。
茶事では亭主が責任を持って趣向の1つとして考えればよろしいのではないかと思っております・・・。




茶事後に頂戴する後礼の手紙は亭主にとって何物にも代えがたいほど嬉しいものです。
裏千家入門7か月のNさまから分厚い手紙が届きました。
その分厚さにびっくり!し、胸ふくらませて巻紙に墨で書かれた手紙を拝読しました。
Nさまから頂いた手紙を掲載させていただきます。

  Nさまより

一筆御礼を申し上げます

この度は本当に素晴らしい朝のお茶事にお招き頂き 誠にありがとうございました
お蔭様で初心者ながら心地よくお茶事を楽しませていただきました

朝はあいにくの雨 午後には晴天となりましたが 
まるで 何処かへ旅に出て一日を過ごし 旅の二日目の様な帰路でございました

あまりにも濃いひと時 しばし頭が空になりましたが
徐々にお茶のご縁のあたたかさを感じました

お席中のお話の数々 お道具にも思い出が沢山
全ては人との縁の物語で 暁庵さまのお人柄そのままのお茶事に只々感動いたしました

暁庵さまにはさぞかしお疲れになられたことと思います
どうぞ重ねてご自愛下さいませ
それでは感謝の言葉は尽きませんが 又の御目文字がかないますよう
右 取り急ぎ御礼申し上げます   かしこ

追伸
この度は寛大にもお受入れ下さり またお疲れにも関らず様々にお教えいただき 
本当に感謝しております
スウェーデン移住の折にはお茶室を作れたら 
また お茶会やお茶事でおもてなしができたらと 夢が膨らむばかりです
毎年スウェーデンに帰っておりますが 
次回はこの度のご縁を胸に 瑞暉亭を訪れたいと存じます       Nより






    スウェーデン・ストックホルムの瑞暉亭 (民族博物館)


  暁庵より
Nさま、後礼のお手紙を頂戴し、嬉しく拝読いたしました。
是非、瑞暉亭を訪れてみてください。
瑞暉亭でご活躍の皆さまも遥か日本からの訪問者を喜んで迎えてくださることでしょう。
そして、きっとNさまの未来の茶の湯生活にもいろいろアドバイスしてくれると思います。
Nさまの夢をスウェーデンで実現されることを、暁庵も夢見ていますね。

掲載できませんでしたが、皆さまからそれぞれ個性あふれるお手紙を頂戴し、感激しています。
ありがとうございました!


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