暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

白露の朝茶事を終えて・・・3

2017年09月18日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会


(つづき)
後座の床には白い芙蓉を桂籠に入れ、露を打ちました。
点前座を茶道口前の丸畳に移し、木地釣瓶の水指、茶入を大津袋に入れて荘リ付けました。

後入りの座が静まると襖を開け、茶碗を持ち出し、いよいよ濃茶のはじまりです。
「御茶一服差し上げたく・・・」
茶事の真意は濃茶にあり・・・と、いつも緊張感を持って臨みます。
四方捌き、茶入、茶杓、茶碗の清めは亭主にとっても心身が浄められ研ぎ澄まされていく瞬間でもあります。
白楽茶碗に濃茶を掬いだすと、ぷぅ~んと佳い香りが漂い、美味しい濃茶が練れそう・・・な気がしてきました。


  「小鷺」    染谷英明造

5人分ですが深くたっぷりした茶碗なので安心して、しっかり練ってお出ししました。
「お服加減はいかがでしょうか?」
「香りもお練り加減も素晴らしく、美味しく頂戴しています・・・」
(ほっ! ヨカッタ・・・)
濃茶は「延年の昔」、詰は福岡県八女の星野園です。

濃茶の時、裏千家流では楽茶碗には古帛紗を添えませんが(楽以外の茶碗には添える)、
小堀遠州流のお二人にはお流儀の仕方で喫んでいただきました。
出し袱紗をお使いになり、たたみ方も初めて拝見しました。
白楽茶碗は銘「小鷺」、昨秋の韓国旅行で知り合った陶芸家・染谷英明造です。
今一番のお気に入りかも・・・・白露の朝茶事にこの茶碗以外は考えられませんでした。


                         
内輪話ですが、本当は名水点のつもりでした。
お正客Wさまは秦野市へお稽古へ通っていると伺って、名水の里・秦野の湧水を汲んで名水点を・・・と考えたのですが、諸事情で断念しました。
Wさまにはまたの機会に是非・・・と思っております。

続いて薄茶を差上げました。
主茶碗は久しぶりに登場の大好きな「うずまき」茶碗です。
神奈川焼の井上良斎が十五世・市村羽左衛門(橘屋)を偲んで造った茶碗で、「うずまき」は橘屋の替え紋だとか。
入手先の古美術「ささき」が小堀遠州流とご縁があることを知り、小堀遠州流のお二人に「うずまき」茶碗で薄茶をのんで頂きたい・・・と思ったのです。


 「うずまき」   井上良斎造

替え茶碗は銘「淡路」(琴浦窯の桐山造)、暁庵の数少ないボーイフレンドT氏から京都を去る折に頂戴した想い出の茶碗です。
茶入と大津袋を拝見に出し、4服目から詰のFさまにお点前を代わって頂き、お客様とゆっくりお話しさせていただきました。

茶入は銘「暁」、世界を股にかけて活躍中の西中千人(ゆきと)造です。
ガラス茶入ですが、呼び継ぎの手法を取り入れ、繊細かつ大胆な味わいがあり、作者共々魅力的です。
釜師・長野新&珠己夫妻の初釜で知り合い、茶事にもお出まし頂き、このステキな茶入「暁」にご縁が繋がり嬉しいかぎりです。
仕覆が間に合わず大津袋に入れたのですが・・・・思いがけず好評でした。

茶杓は銘「寧(ねい)」、白楽茶碗の作者・染谷英明氏に削っていただきました。

お話は尽きませんが、お客様といろいろお話しできる薄茶タイムは楽しく貴重なひと時でした。


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