暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

はつ風の茶事ーその1

2013年09月17日 | 茶事  京都編

15日、16日と黒風(台風)が吹き荒れました。
降り始めからの総雨量は、京都市内で250ミリに達しました。
近隣の鴨川も我が家も無事でしたが、桂川は増水で氾濫し、
渡月橋あたりが水没している様子をテレビで見て、びっくりしました。
・・・こんな折ですが、はつ風の茶事をアップいたします。


                
                 吾亦紅、桔梗、金水引


      うたたねの朝けの袖にかはるなり
           ならす扇の秋の初風     式子内親王

はつ風とは、八月終りか九月初め頃にふと「秋が来たなぁ~」と
一瞬感じる、爽やかな風を呼ぶそうです。
そんなはつ風を感じながら御茶一服差し上げたくなって、
社中の先輩 Iさま、Yさま、Fさまにお出まし頂きました。

いつか社中の方をお招きしたい・・・と思いながら、時が過ぎて、
京都へ来て1年半が経っていました。
このままではいけない・・・と思い、勇気をだしてご案内しました。

待合の掛物は、準教授のお祝いに頂戴した画賛(矢野一甫和尚賛)
「舞秋風」を掛けました。
そのおかげでしょうか?
茶室には秋のはつ風がずっ~と優しくそよいでいたような・・。


               
                      萩

床の掛物は、紫野寛道和尚筆「洗心」です。

お客さまをお招きするに当たり、いつの間にか心に棲みついた
余計なもの(自尊心、慢心、虚栄心など)を取り除くのに時間がかかり、
やっと心を洗い浄めて、お迎えできた喜びをお話しました。
そんな亭主の葛藤をさりげなく、しっかりと受け止めてくださった、
お正客さまに感謝です。

先ずはお香から始まりました。
「月」の花月札を引いたFさまが香を焚いて香をまわし始めると、
薄暗い茶室に幽かな香りが漂ってきました。
「御香は」
「伽羅で、香銘は「はつかぜ」でございます」

「それではお食事を差し上げます。
 申し訳ありませんが、少々時間を頂戴します。
 どうぞご歓談してお待ちくださいませ」

さぁ~て、茶事中で一番大変な懐石です。
9月とはいえ、熱い一文字と熱い汁を差し上げるべく・・・腕まくり。
お膳を運び出して一安心、あとは流れるように次々・・・
と言いたいところですが、後半に大失敗! 
八寸を忘れたことに気が付き、あわてました。


               
                  ヤブミョウガ

酒は、京都北山の羽田酒造の「六友(りくゆう)」、
すっきりとした、やや辛口のお酒です。

「人生に六つの友あり、いわく琴詞酒雪月花」
という白居易(白楽天)の漢詩に因んで名づけられました。
琴(音楽)、詞(文学)、酒、雪、月、花の六友、
これらを愛でる心があれば、人生楽しく生きれると語っています。
私は酒が苦手なので、おちゃけかな。

 懐石献立
   向付   鯛昆布〆
   飯    コシヒカリ(滋賀産新米)
   汁    パンプキン麩  しめじ  合せ味噌  すり胡麻
   煮物椀  真蒸(車海老、枝豆) 松茸  紅葉麩 
          三つ葉 青柚子
   焼物   金目鯛
   炊合せ  鳥の丸  翡翠茄子 万願寺とうがらし
   箸洗   カリカリ小梅
   八寸   もろこ(琵琶湖)  紫頭巾の松葉刺し
   香の物  タクワン、白菜、胡瓜の浅漬け

       
        はつ風の茶事ーその2へつづく          

        写真は季節の花300の提供です。