15日、16日と黒風(台風)が吹き荒れました。
降り始めからの総雨量は、京都市内で250ミリに達しました。
近隣の鴨川も我が家も無事でしたが、桂川は増水で氾濫し、
渡月橋あたりが水没している様子をテレビで見て、びっくりしました。
・・・こんな折ですが、はつ風の茶事をアップいたします。

吾亦紅、桔梗、金水引
うたたねの朝けの袖にかはるなり
ならす扇の秋の初風 式子内親王
はつ風とは、八月終りか九月初め頃にふと「秋が来たなぁ~」と
一瞬感じる、爽やかな風を呼ぶそうです。
そんなはつ風を感じながら御茶一服差し上げたくなって、
社中の先輩 Iさま、Yさま、Fさまにお出まし頂きました。
いつか社中の方をお招きしたい・・・と思いながら、時が過ぎて、
京都へ来て1年半が経っていました。
このままではいけない・・・と思い、勇気をだしてご案内しました。
待合の掛物は、準教授のお祝いに頂戴した画賛(矢野一甫和尚賛)
「舞秋風」を掛けました。
そのおかげでしょうか?
茶室には秋のはつ風がずっ~と優しくそよいでいたような・・。

萩
床の掛物は、紫野寛道和尚筆「洗心」です。
お客さまをお招きするに当たり、いつの間にか心に棲みついた
余計なもの(自尊心、慢心、虚栄心など)を取り除くのに時間がかかり、
やっと心を洗い浄めて、お迎えできた喜びをお話しました。
そんな亭主の葛藤をさりげなく、しっかりと受け止めてくださった、
お正客さまに感謝です。
先ずはお香から始まりました。
「月」の花月札を引いたFさまが香を焚いて香をまわし始めると、
薄暗い茶室に幽かな香りが漂ってきました。
「御香は」
「伽羅で、香銘は「はつかぜ」でございます」
「それではお食事を差し上げます。
申し訳ありませんが、少々時間を頂戴します。
どうぞご歓談してお待ちくださいませ」
さぁ~て、茶事中で一番大変な懐石です。
9月とはいえ、熱い一文字と熱い汁を差し上げるべく・・・腕まくり。
お膳を運び出して一安心、あとは流れるように次々・・・
と言いたいところですが、後半に大失敗!
八寸を忘れたことに気が付き、あわてました。

ヤブミョウガ
酒は、京都北山の羽田酒造の「六友(りくゆう)」、
すっきりとした、やや辛口のお酒です。
「人生に六つの友あり、いわく琴詞酒雪月花」
という白居易(白楽天)の漢詩に因んで名づけられました。
琴(音楽)、詞(文学)、酒、雪、月、花の六友、
これらを愛でる心があれば、人生楽しく生きれると語っています。
私は酒が苦手なので、おちゃけかな。
懐石献立
向付 鯛昆布〆
飯 コシヒカリ(滋賀産新米)
汁 パンプキン麩 しめじ 合せ味噌 すり胡麻
煮物椀 真蒸(車海老、枝豆) 松茸 紅葉麩
三つ葉 青柚子
焼物 金目鯛
炊合せ 鳥の丸 翡翠茄子 万願寺とうがらし
箸洗 カリカリ小梅
八寸 もろこ(琵琶湖) 紫頭巾の松葉刺し
香の物 タクワン、白菜、胡瓜の浅漬け
はつ風の茶事ーその2へつづく

写真は季節の花300の提供です。