暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

明月舎月釜へ

2013年09月02日 | 献茶式&茶会  京都編
                  北野天満宮

昨年の朔日稽古へ参加した折のことです。
坐忘斎お家元が
「何事も覚悟を持ってすることが肝要です。
 たとえ、大寄せの茶会であっても覚悟を持って臨めば
 そこで得ることはとても大きい・・・」
というようなお話をしてくださいました。

茶会が苦手な私は
「それなりの覚悟を持つ・・?」と半信半疑ながら
頭のどこかにそのことが引っかかっていました。

           

暑さもようやくおさまりつつある9月1日、
今まで避けていた大寄せ茶会へ足を運ぶことに覚悟を決めました。
記念すべき第一回は、北野天満宮・明月舎の月釜です。

北野天満宮では、天正15(1587)年10月1日に豊臣秀吉が開催した
北野大茶会を記念して、毎月1日と15日に月釜が掛けられています。

明月舎の月釜は3年ぶり2回めでしょうか。
京都に居る間、勉強の場として毎月通うことにしました。
茶会デビューを祝ってか、朝から雨模様、おまけに雷鳴も・・・。

玄関でソックスを履き替え、寄付で会費(1500円)を納め、
八畳の待合へ入りました。
座って襖を開け、扇子を前ににじって入り、二間の長床の前に立って進み、
「秋草に鶉」画の掛物と会記を拝見してから、隅っこへ落ち着きました。

           

待っている間に、入ってくる方の所作を見て、はっとしました。
ほとんどの方がにじって待合へ入ると、きちんと扇子を前に置かれ、
「失礼いたします」とか
「同席させていただきます」とか、先の方々に挨拶されていました。

たとえ、大寄せであっても、これから同席する方たちなので
一声ご挨拶する方が気持ち良く、座も和やかになりますね・・・。
そう思うと、自然に挨拶や会釈がでてまいります。
早速に好い勉強をさせて頂きました。

           


明月舎の広間は、八畳二室が続き間になっていて、
青い毛氈が客座に敷かれていました。
席入すると(大勢さんなので立ったまま)、気楽な末席は既にいっぱい、
正客席近くの空いている席へ座りました。

見るからに正客としてふさわしい男性が自然体で正客席へ座られ、
お勧めに従って次客席へ詰めさせていただきました。
(内心、苦手な正客争いが無く、嬉しかったのですが、
 あとでお正客は有名な大先生であることを知りました(汗

            

床を拝見すると
「黒風吹不入」
とあり、坐忘斎お家元筆です。
 こくふう吹けどもいらず・・・と読むのでしょうか。

「黒風とは暴風雨のことで、この日(9月1日)がぴったりと
 掛けてみました。
 なかなか掛ける機会がなく、難しいお軸です」と席主。

さらに、観音経の一節からの語句で、
「入於大海假使黒風 吹其船舫」
(大海原を航海しているとき、たとえ、暴風雨が吹き荒れても
 観音経を一心にとなえれば救われる)
を表わしているようです。

「黒風」は暴風雨だけではなく、もっと広義にとらえれば、
茶会デビューに際し、とても力強いエールのように思えてきました。

ゆっくり、心穏やかにまいりましょう。

                                                          



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