暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

萩まつり茶会と宗偏流茶会  その2

2013年09月25日 | 献茶式&茶会  京都編

(つづき)
昼食後、自転車に飛び乗り、吉田山をぐるっと回って
黎明教会資料研修館((左京区吉田神楽岡町)へ向いました。

資料研修館には大文字が正面に見える茶室と立礼席があり、
Reimei Art Galleryの会期中には茶道具の設えが展示され、
目を楽しませてくれます。
でも、茶会はめったになく、「9月23日13時~15時まで呈茶します」
とHPに載っていたので、出かけることにしました。

茶券(500円)を買って、腰掛待合で待っていると、
まもなく前の席が終わって、袴姿の若い男性が案内してくれました。
茶室と立礼席の両方に茶道具が設えてありましたが、
客は四名で、なんと立礼の正客席へ座らせて頂きました。

席主は、前回もお席を持たれた宗偏流の先生でした。
私のことを覚えていてくださって、嬉しい再会です。
次客さまは席主の知人で、茶室の茶道具を担当してくださったとか。
それで、薄茶を頂いたあとでお道具の話を聴かせて頂くことになりました。

            

お点前は若い女性、オリジナルの立礼卓のお点前です。
宗偏流のことを伺いながらお点前を拝見していると、
あっという間に薄茶が点ってしまいました。
口に含むとまろやかで美味しく、細かく泡立っていて、感激しました。
きっとこの日のために一生懸命お稽古したことでしょう。

お菓子が絶品で、お尋ねすると
「虎屋の栗蒸し羊羹でございます。
 栗蒸し羊羹では一番のお気に入りなのです」と席主。
虎屋にしては甘過ぎず、
栗と蒸し羊羹の絶妙なハーモニーがさすが虎屋と納得でした。

            

隣接の茶室に荘られている茶道具について、
次客さまからお話を興味深く伺いながら拝見しました。

床の掛物は神護寺経、紺紙に金泥の経文が端麗に浮かび上がります。
どんな方がどのような願いを込めて書いたのでしょうか。
小振りの、先祖供養の日にぴったりのお軸でした。

一番印象深かったのは細い円柱の香合でした。
平安時代のもので、軸先を仕立てたものだとか。
手に取ると、細かな金彩のような彫りがある金物で、
遠くインドかペルシャか、絵柄に異国の匂いがします。
香合が乗せられていた白い帛紗(龍村製)もエキゾチックでお似合いでした。
花入は唐胴の水瓶、藤袴が一輪生けられています。

           

点前座は、霰釜切合風炉、どっしりした備前耳付水指は金重陶陽造。

薄器は、朱塗りの円型の器に黒柿の蓋、
時代を経た根来塗のかすれが何とも言えず味佳く、垂涎の薄器でした。
「ちゃつ」(楪子)と言って、元は仏さまに菓子を盛る器でした。
平安時代にどこかの寺で使われていたのでしょう・・・と次客さま。

茶碗は古瀬戸とか、薄枇杷色の肌に灰釉のなだれが美しい茶碗です。
それに閼伽の建水と蓋置(陶器の灯明台)がうっとりの取り合わせでした。

一つずつ夢中でお話を伺ってから、顔を上げて「えっ!」
水屋の若いお弟子さんが出ていらして、その数の多さにびっくりしました。
・・・でも嬉しかったです。
次客さまの説明を一緒に熱心に聴いていてくださったのね。
時間をかけて集められた素晴らしいお道具で、素敵な取り合わせですもの。

次回またお伺いするのが楽しみになりました。
違う茶道具も良し、また、同じお道具に逢えるのも嬉し・・・です。

帰りにReimei Art Galleryの琳派美術展2013第Ⅱ期を観ました。
中でも第6室(光琳乾山の器物)に展示されている「黒楽鹿図花入」、
一見をお薦めです。

  琳派美術展(Ⅱ)2013年9月3日~10月20日(入場無料)

                                   
             その1へ戻る