暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

長屋門公園・正午の茶事(4)

2009年09月04日 | 茶事
後炭で釜を上げた瞬間、はっとしました。
炭がかなり流れていて、かろうじて間に合ったようです。

  後炭の火時の移ろい映し出し 
        師匠の教え聴こゆる思い

後炭ののち、薄茶。
干菓子盆はMさまのお作です。
お盆をじっくり拝見していただきたかったので、
早めに干菓子を取り回していただきました。

「雪輪ですね、この瓢もご自分で刳り貫いたのかしら?」
「Mさまは江戸千家なので・・・」
「花は何かしら?菊のようで菊でないような?」
薄茶席でもあり、いろいろな声が楽しく飛び交いました。

干菓子は徳島市福屋の「寂聴せんべい」と「和三盆」。
瀬戸内寂聴が徳島市出身のことをお話しすると
「この顔、寂聴さんね」という声がしました。
薄茶は「宝尽の白」(伊藤園)。

お正客さまが干菓子盆の裏に書かれた言葉を
読み上げてくださいました。

    老いてこそ 華やぐ
    病みてこそ 華やぐ
    今ある命を楽しみながら
    今このときを
    精一杯大切に生きる
    爾今爾後

「私には一つ一つが心に響く言葉です。
 爾今爾後がいいですねぇ~」
改めて赤い袱紗を出して盆をのせ拝見にまわしてくださり、
お正客さまの細やかなお心遣いがとても嬉しく、感激いたしました。

  仙台の翁の手なる干菓子盆 
      赤き袱紗に命輝く

薄茶の主茶碗は尾戸焼(土佐藩お庭焼き)で、銘「松竹梅」。
小振りで薄手、松竹梅が墨絵のように淡く描かれた
上品な作柄で、私のお気に入りの一つです。
梅、椿、此花などの替茶碗で、華やかな薄茶席になりました。

最後に、水指に先ほど大活躍してくれた鶯笛を飾り、
ウグイスに見送りを託しました。

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