暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

水清き庵の正午の茶事 (2)

2009年09月21日 | 思い出の茶事
  (つづき)
後座の花は花水木の照り葉と黄色の小菊、
まだ照り葉には早すぎる時候なのに・・・。
きっと遠くまで足を運んでくださったことでしょう。

花入は益田鈍翁作の尺八で銘「峯の松」。
あとで拝見すると、金字で今日のお席にぴったりの和歌が
書き付けられていました。

    峯渡る松の梢を吹き過ぎて 
        嵐も訪いぬ谷かげの庵

対柄杓で練ってくださった濃茶の美味しかったこと。
主茶碗は「もみじ呉器」。
品のある形と色、雨漏りの景色の味わいが忘れられません。
インド更紗のような出袱紗とともに持って帰りたいほどでした。
またの出合いが楽しみです。

薄茶も白湯も美味しく頂戴しました。
又妙斎手造りの赤楽「猩々」と瀬戸の沓茶碗で即中斎銘「虫の音」。
どちらも見るからに点て難そうな茶碗でしたが、
いかにも点てやすい茶碗のように、さらさらと点てられて
感服しながら拝見しました。
裏流にふっくらと滑らかで、美味しくいただきました。

「水」だけでなく、次々と使われる茶道具や懐石の器にも
ご亭主のお好みとこだわりが満載です。
「はぁ~、ひぇ~、ふぅ~、へぇ~、ほぉ~」
と、その度に嘆声があがりました。

一糸の乱れも無いような統一感のある道具組で、
「やさしい、優雅な、かわいらしい」というような形容詞でしょうか?
何よりお道具の楽しみ方、集め方のお手本を見せて頂き、
客一同とても刺激になりました。

相客のお一人は、
「お茶のテンションが下がっていたけれど、この茶事に伺って
 もう一度茶の湯に取り組む意欲がでてきました」と喜んでいます。

書き尽くせませんが、奥の奥まで行き届いたおもてなしをして頂き、
忘れられない茶事となりました。

私たちの姿が見えなくなるまで門先でお見送りくださった
ご亭主さま、本当に本当にありがとうございました!

    水清きこがねの庵訪ぬれば
        「秋の月」かげ「虫の声」聞く

                             

       写真は、散歩みちで見つけた「ゴーヤ?」です。