鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

企業経営の赤字は負け戦で、経営責任以外のなにものでもない

2010-02-01 | Weblog
 先日東京・赤坂で開かれた自民党定期大会に来賓として前楽天イーグルス監督の野村克也氏が招かれ、「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」との持論をもとに議員たちを激励した、との報道があった。長くプロ野球の監督をするなかで培ってきた勝負勘をもとに政権奪還を期す自民党当局になんらかの参考となる話をと考えて招かれたようで、プロ野球の勝負と選挙での勝ち負けに共通するものがあるのだ、と改めて野村監督の凄さが印象付けられた。
 野村監督の持論である「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」は勝った場合は相手のエラーや思いがけない幸運に恵まれての勝ちがあるが、敗戦した場合は必ずその理由がある、というもので、数々の歴戦を戦ってきた野村監督だからこそ言える名言である。来賓挨拶で野村監督は「一般に勝った場合はそれでよしとして戦いを振り返ることはしないが、負けた場合はなぜ負けたのかをとことん追及して、改善をは図る。自民党は長く政権の座にあって驕っていて反省をすることもなかった。今回選挙に敗れたことで、大いに反省し、再起を期して下さい」と締めくくった。
 鈍想愚感子の出身母体の2つの会社が昨年、一方は50数年ぶりの、もうひとつは創業以来初めての赤字決算となった、というのを聞いて、野村監督のこの名言を思い出した。企業経営についてなぞらえれば、黒字決算は勝ちであり、赤字決算は負け戦である。企業経営で利益を計上して、従業員、株主に報い、しかるべき税金を払うことは当然の責務である。余力があれば、利益をフィランソロピー活動として社会貢献に向けることがあってもいい。
 さらに敷衍していえば、企業経営で利益が出る場合は経営者の経営によるのでなく、従業員が努力してくれた結果であるのに対し、赤字が出た場合は一重に経営者の経営がよくなかったからで、経営責任以外のなにものでもない。赤字になるにはそれなりの理由があり、それを事前に察知して相応の措置をとってこなかったのは経営者の責任である。
 その意味ではプロ野球と企業経営は共通するものがある。もちろん、企業経営には製品の製造から販売に至るまで複雑な工程を数多くあるが、基本は人の集合体で心をひとつにして目標に向かっていくことでは共通する、ということなのだろう。経営者のまず第一の責務は経営方針なり、ヴィジョンで企業の向かう方向を従業員に指し示すことで、そのうえで計数をはじいて目標通りに成果を上げているかを絶えずチェックすることで、利益をあげていくことになろう。
 野村監督に企業経営ができるかどうかはわからないが、従業員の心をつかむことでは長けたものをもっていることだけは間違いないことだろう。
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