MAICOの 「 あ ら か る と 」

写真と文で綴る森羅万象と「逍遥の記(只管不歩)」など。

越冬する野良猫

2014年02月02日 | あらかると

野良といえば、農業地帯の田舎では民家から離れた田畑地帯を言い、
「野良仕事」といえば農作業のことである。

で、今日話題にするのはとある公園を根城にしている「野良猫」のことで、
私がその猫を初めて見たのは12月の下旬のことだった。

護岸が階段状になっている小川の、
対岸の階段を一匹の猫が下りてきて、
小川の水を美味しそうに飲み始めたのである。

小川は谷津の湧き水が集まったもので一年中澄み切っていて、
煮沸すれば人が飲んでも美味しそうだが、
近くには水道も自販機もあるので水を汲む人は居ない。

珍しい光景だったので撮った一枚が下の写真。


それから約一ヵ月後、猫に出会った近くのベンチで昼食を摂っていると、
約4m程先にその猫が現れた。
で・・・
私以外に人がいなかったので呼んでみたが、近寄ってくることは無かった。
かといって去るわけでもなく、その場に留まってこちらを見ている。

その日の昼食は近くのコンビニで買った、
チーズとハムとレタスのサンドイッチとアンパンで、
食べていたサンドイッチのチーズを千切って投げると寄ってきて食べた。


食べ終わるとまたこちらを見て催促しているようだったので、
何度かに分けて与えていると、ついには足元までやってきた。

手の届く範囲に近寄ってきた猫に、手渡しで与えてみようと手を伸ばすと、
餌をもらっているにも拘らず「シャー、シャー」と威嚇のポーズ。

人の手に対して何かトラウマがあるのかもしれないと思ったが、
そればかりではなく、
何かに怯えているように、食べている最中にも周囲を見回していた。


チーズとハムの半分以上とアンパンの周りの部分(餡の部分は私が食べた)を与え、
私の食事は終わったが、猫はまだ欲しそうであった。
しかし、もう与えるものは無くなっており、
そのことを察知したのか猫は目の前を離れていった。
が、
私の目の届く範囲内からはなかなか離れず、
時折地面に横になって体をくゆらしていたので望遠レンズで撮ってみると、
その目からは野生の射付くような鋭さが消えていた。


つい先日に公園に行った時もその猫は現れた。
しかし私はすでに昼食を済ました後だったので、
与えられるものは何も無く、遠くから写真だけを撮った(巻頭の写真)。

厳冬期は人ばかりではなくあらゆる生き物にとっても試練の時期であるが、
人から捨てられた野良猫ならなおさら厳しい環境下に置かれるわけで、
生きるための糧は冬の野原には殆ど見つからないことだろう。

だが猫には公園を住処にするという知恵があった。
公園には人がやってくるし、公園で弁当を食べる人も居る。
そんな人の近くで只管その人を見続けることによって人の情を引き出し、
何とか生き延びられる程度の糧をものにしているのである。
コメント