prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ロブスター」

2017年04月23日 | 映画
男女が集団見合いみたいに集められて、パートナーを見つけられない者は動物に変えられてしまうという設定に惹かれて見ることにしたのだが、どうもこの設定がうまく生かされているとは思えない。

早い話、動物に変えられるところが画として示されているわけではなく、見せてしまったら丸っきり昔のB級怪奇SFになってしまうだろうが、代わりに何があるかというとスタイリッシュな、というよりはっきりスカしたと言った方がよさそうな映像とやりとりが二時間続くわけで、改造されてしまう恐怖とか場合によっては気持ちよさとかまで踏み込まないのがいかにも物足りない。

私は貝になりたいならぬロブスターになりたいと言っていた主人公が本当にロブスターになったらどうなのかとか描いたらバカバカしいけれど、そういうバカバカしさを避ける方に腐心して終わってしまった感。

車の中のアングルから一続きのワンカットで動物を殺すのを無造作に見せるオープニングは好調で期待したのだが、そのあとが続かなかった。
(☆☆★★★)

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4月22日(土)のつぶやき

2017年04月23日 | Weblog

「はじまりへの旅」

2017年04月22日 | 映画
近代的な生活と公的な教育を拒否して森の中で暮らしている一家、というのは実際にいそうだし、事実、公的な教育を拒否して家で独自の教育を施しているという家族はかなりいるはず。

ただし、そういうのは実際にはカルトか、狂信的なのではないかと思え、いささかこの一家は映画だから共感できるようにする都合があるとはいえ常識的に過ぎる。全体に昔の「アドベンチャー・ファミリー」的な仲良しエコ家族に収めた印象。
ヴィゴ・モーテンセンだとクレイジーな世界に片足を突っ込んでいても片足は共感できる範囲に置いている感じになる。
冒頭の鹿狩りはかなりぎょっとするが、そういう「野蛮」な描写はあとは影をひそめる。

ただアーミッシュみたいにまるっきり近代的な生活を拒否しているのかというとそうでもないので、勉強は非常にしている。ただ、学校に行かない、街にも出ないで大学進学資格をどうやってとるのだろうとは思う。

一家の中ではノーム・チョムスキーがヒーローみたいになっていたりする。自身をアナキストと規定しているという9.11の時に愛国一色になったアメリカの世論に対して批判した学者ですね。
左翼的というのを含めて昔のヒッピー的生活の再生といったところだろうか。一家の母親は仏教徒という設定だが、反アメリカ的消費生活といったくらいの意味だろう。

ただ、森の生活の欠点は病気やケガをした時どうするかという対処方法が著しく劣っていることで、ケガしたら病院のお世話になるしかなく、次第に森を出ざるを得ない。

ここで金持ちの義父が出てきて、普通の生活に戻るよう圧力をかけるのは予想のつく展開。フランク・ランジェラが貫禄を見せます。
(☆☆☆★)

はじまりへの旅 公式ホームページ

映画『はじまりへの旅』 - シネマトゥデイ

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4月21日(金)のつぶやき

2017年04月22日 | Weblog

「グレートウォール」

2017年04月21日 | 映画
チャン・イーモウ(張芸謀)のハリウッド進出作みたいなつもりで見に行ったら、「ゴジラ」「キング・コング」のレジェンダリー・ピクチャーズが中国を舞台にした怪獣ものでした。

実はあんなにいっぱい怪獣が出てくるとは思わなかった。予告編でわさわさしているのが何か変だなとは思っていたのだが、中国を舞台にしたとあっては雲霞のような人海が見られるものと思い込んでいたのでした。
人間同士の戦いだと相手をどう設定するのか、異民族の襲来を防ぐためという本来の機能を全面に出すと、中国の国内政治的に面倒という事情もあるのかと思う。

美学的な映像はたまぁに出る程度で、完全にゲーム感覚というかCG大作感覚で通している器用さに呆れるというか恐れ入った。これくらい世渡りに長けていないと国民党兵士の息子から北京オリンピックの開会式の演出まで「出世」はできないということか。

マット・デイモン扮する英語を操る西洋人(何人のつもりだ?)が主役なのは世界市場相手ということだろうけれど、中国語と英語の両方わかる美女ジン・テイエンが鎧に身を包んで活躍するのが中国市場とゲーマー向けという感じ。

とにかく見せ場は連続するので退屈はしないが、肝腎の怪獣の性格付けが曖昧であまり魅力がなくて全体に何しろバカバカしい。
(☆☆☆)

グレートウォール 公式ホームページ

映画『グレートウォール』 - シネマトゥデイ

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4月20日(木)のつぶやき

2017年04月21日 | Weblog

ヤマガタサンダンデロ アロマ・イタリアン 香りの味覚デザインを楽しむ

2017年04月20日 | グルメ

ウェルカムウォーター


茄子のタタキと直七オイルとウニ
(直七とはスダチの仲間 正式名称は田熊スダチ)


直七果汁で〆たスズキのセビーチェ


直七入り芳香蒸留水とあさりのフェデリーニ


茹でたジャガイモにバジルオイルと足赤エビ


檜のオイルと鶏胸肉とエリンギの日本酒蒸し


猪のローストとブルーベリー、シナモンオイル


白身魚の寿司にワサビのアロマオイル


水色ソルベと芳香蒸留水


ホワイトチョコレートガトーにアロマオイル

「ゴースト・イン・ザ・シェル」

2017年04月20日 | 映画
スカーレット・ヨハンソンが草薙素子役をやるというより、自分が草薙素子という人間だったということを見出す役を演じるようにドラマを組んでいるのは考えたもの。

もともと人間と機械の境界すら曖昧になっている世界で、日本人女性らしき名前と姿をしているが、正体が誰なのか、人種、年齢、性別も本当はわからないようなキャラクターにそれとはおよそ食い違う西洋人の姿を与え、これまでのイメージをおそらく本当の自己として据えるという具合に逆転させたわけで、外国で映画化する意義もそこに出た。

ヴィジュアルは意識的だろうけれど微妙な安っぽさ、キッチェ感が混ざる。「ブレードランナー」式に香港テイストが混ざるが、中国の会社が製作に参加しているのね。

たけしが日本語のセリフで通していて、それで英語しか話さないキャラクターとなぜか会話が成立しているのが変には違いないけれど、これだけ混沌としている世界では不思議ではなくなっている。

スカーレットは人間ならざる者と人間の境界にいる役をやると実に似合います。
欲をいうとアクション・シーンの趣向にもっと奇抜さが欲しかった。
(☆☆☆★★)

ゴースト・イン・ザ・シェル 公式ホームページ

映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』 - シネマトゥデイ

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4月19日(水)のつぶやき

2017年04月20日 | Weblog

仲代達矢の日本映画遺産 第三回 新たな挑戦

2017年04月19日 | Weblog
「切腹」をはじめとする小林正樹監督作が中心。
イェール大学での「切腹」上映後の質疑応答で、悪役をやるのは好きです、虚実、光と影をいくつか持ち合わせてないと演じられないない、顔だけ悪そうにしてもではだめですと語る仲代氏。

話の途中でアイヤと止めたりするあたりでアメリカの観客が笑うのを見て、あ、笑ってもいいのだなと思ったという。このあたりは日本でも封切り時に笑い声が起きたと小林信彦のコラムにあった。
ものすごく物々しいタッチの中に、仲代の津雲半四郎が知っていてとぼけている芝居がふっと入ってくるからけっこう可笑しくなるのだな。

やはり自分の作品の中で一本といえば「切腹」で、あそこで主役であると共に語り手でもあるのだが、そこで子供の時にラジオをずうっと徳川無声などの語り芸を聞いていたのが役に立ったという。

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4月18日(火)のつぶやき

2017年04月19日 | Weblog

「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」

2017年04月18日 | 映画
予告編からは想像できなかったアイテムがばんばん出てくるのにびっくり。ずいぶん完全に伏せたもの。

寝てばかりいるヒロイン、という設定自体、夢だからという口実で作者が好きなものを好きなだけぶちこめるからではないかと思いたくなるくらい。

夢と現実、魔法と新しいテクノロジーを行き来して結びつける趣向はおもしろいのだけれど、テクノロジーの方はかなり現実的になっているぶん陳腐化しやすい、あるいはもうしている印象で、自動運転の自動車みたいにいずれ実用化されるガジェットをもってこられても魅力的とは思えない。

オリンピックや大企業が夢に出てくる王国と対応して出てくるあたりで、たとえば無事2020年のオリンピックが済むのかいな、無事済みさえいいのか、政府御用達みたいだとなんだか鼻白んだ。なまじっかリアルな存在が絡むことでかえって上滑りしている。
ストーリーやキャラクターが内から動いているのではなく、動かされている感。
(☆☆★★★)

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4月17日(月)のつぶやき その2

2017年04月18日 | Weblog

4月17日(月)のつぶやき その1

2017年04月18日 | Weblog

「レゴバットマン ザ・ムービー」

2017年04月17日 | 映画
バットマンがしつこく何度となくリメイクとかリブートし続けていること自体をモチーフにしていまったような一作。

宿敵と戦って勝敗が一応ついても、また別の設定で現れては戦い、決して完全決着がついてバットマン世界から消え去ることはないわけで、要するに有名で敵役として商業価値のあるキャラクターはひっこめられないという事情によるのだけれど、そこを敵役と主役の、あるいはそれ以上にキャラクターの存在価値論にもっていったのが上手いところ。
この自分の存在価値は何があるのかという問いを立てたところでドラマは普遍性を持ったし、仲間との連帯という発展と結末のつけ方も他にありえないけれど、説教くさくならない。

文字通りおもちゃ箱をぶちまけたようにあまり知られていないキャラクターや、他の作品のキャラクターが垣根を超えて大量に集結しているのにびっくり。権利関係どうやってクリアしたのだろう。レゴのキャラクターは別勘定なのだろうか。まことににぎやかだし、にぎやかさ自体がモチーフとも結びついている。
(☆☆☆★★★)

レゴバットマン ザ・ムービー 公式ホームページ

映画『レゴバットマン ザ・ムービー』 - シネマトゥデイ

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