万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

モラルの欠如が中国を滅ぼす

2008年05月11日 18時27分37秒 | アジア
中国の聖火リレーでゴミの山、マナーまでは統制できず(読売新聞) - goo ニュース

 江戸時代を通して長い鎖国政策が続いたにも拘わらず、明治維新による開国以来、日本国は、鎖国時代の遅れを取り戻すかの如く、あらゆる領域において長足の進歩を遂げました。また、第二次世界大戦における敗戦にも拘わらず、高度成長時代を達成し、70年代には経済大国の地位にまで上り詰めました。北京オリンピックを8月に控える中国も、日本国と同じような道を歩むものと予測されているようですが、果たして、この予測は当たるのでしょうか?

 経済発展の要因を挙げてみますと、市場規模(人口)、資源へのアクセス、技術力、良質な労働力、市場の法整備、安定した金融システム・・・などがあります。中国の場合、市場規模という要件だけは、文句なく満たしているようですが、他の要件については、必ずしも充分ではありません。そうして、決定的に欠けている要件とは、市場の健全な秩序を支えるべき国民のモラルではないか、と思うのです。封建制からの解放を旗印に過去の慣習や思想を破壊して成立した共産主義中国は、人間社会の経験知として伝えられてきた道徳律さえも破壊の対象としました。古来より、商取引においては、ローマ法に既に見られるように、自由意思、信義誠実の原則、契約の遵守など、信用や信頼に関わる原則が尊重されてたものです。しかしながら、即席で市場経済を取り入れた中国には、この市場に不可欠なモラルが欠けているのです。

 たとえ発展に必要な物質的な要件を揃えたとしても、このモラルの欠如が、中国の躓きの石になるように思うのです。中国共産主義が追及する科学の及ばぬことろに、実は、発展の鍵が隠されているのかもしれないのですから。

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コメント (12)
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