万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の招待状作戦にNOを

2008年05月03日 16時30分53秒 | 国際政治
石原都知事、北京五輪開会式に出席の意向…台湾も訪問(読売新聞) - goo ニュース

 中国の歴代王朝の政治史を眺めて見ますと、権謀術数の限りを尽くして、自己に有利な方向に事態を誘導することは、為政者の習いのようです。世界各地で中国政府に対する抗議の声が強まる中、中国は、日本国に対しては、招待状作戦という巧妙な戦法を見つけ出したようなのです。招待状作戦の狙いは、以下のように憶測することができます。

 第一の狙いは、西欧諸国と日本国との分断です。欧州各国の首脳が北京オリンピックの開会式参加に難色を示す中、中国政府は、日本国に対しては、福田首相、阿倍前首相、森元首相に加えて、石原都知事にまで招待状を送りました。この招待状の数は、おそらく、他の諸国に抜きんでていることでしょう。敢えて、日本国優遇を示すことによって、自陣営への取り込みを図ろうとしているとも見えます。

 第二の狙いとは、日本国内の分裂です。歴代の首相に名を連ねる阿倍氏と森氏に招待状を送りながら、同様の立場にある小泉氏には招待状は届かなかったようです。これは、中国政府が、反中派を意図的に外すことの意思表示と見られ、日本国内の新中派政治家に対して優遇策を打ち出したことになります。

 第三に、個人宛てに招待状を送ることにより、日本国の世論を切り離し、かつ、招待者に対して個別に踏み絵を踏ませているとも言えます。

 いわば、一種の陽動作戦であり、国際社会、ならびに、日本国が、一致団結してチベット弾圧を行った中国に対して非難することを阻止しようとしていると推測できるのです。これは、中国による北京オリンピックの政治利用に他なりません。

 招待状を受け取った政治家の方々は、この策略に気付き、招待の辞退を考えるべきと思うのです。もし、快諾するとなりますと、人権弾圧に反対する諸国と良心ある人々の失望という大きな代償を払うことになるのですから。

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コメント (2)
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