万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

亡き人を悼む心が中国を変える?

2008年05月21日 17時53分24秒 | アジア
日本救助隊の犠牲者への黙とう、中国で絶賛(読売新聞) - goo ニュース

 共産党による中華人民共和国の建国をイメージしますと、荒れ狂う革命の嵐の中で、人民解放軍が、倒れる屍を踏み越えてひたすら前進する姿が思い浮びます。実際に、共産革命にあって反革命分子として命を落とした人々は、誰に葬られることなく、野に朽ち果てることになったのです。

 共産主義体制にあっては、反革命分子のレッテルを貼られたが最後、孫子の代まで迫害を受けるという体質は、一晩で変わることはないでしょうし、また、革命による虐殺と天災による被害は違うのかもしれません。しかしながら、四川大地震にあって、日本救助隊の黙禱という行為が心の琴線に触れ、中国の人々の心に、亡き人を悼むという気持ちが芽生えたとしますと、それは、中国が、人の命を尊び、延いては、人権を尊重する国に変化する兆しとなるかもしれないのです。テレビの報道にも、中国の人々が、犠牲者のために、静かに黙禱を捧げる姿が映し出されていました。

 これまでの共産主義教育によって、中国の人々は、すっかり暴力の残酷さに慣らされ、心が殺伐としてしまったようです。しかしながら、中国の人々が、人としての温かみを取り戻せば、あるいは、中国の人権問題が改善され、チベットに対する弾圧政策の誤りを悟ることになるかも知れません。もしそうなるならば、天は、災害という厳しい試練を与えるとともに、大いなる恵みをも与えたことになりましょう。

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