万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

台湾のネットワーク参加のゆくへ

2008年05月23日 14時17分03秒 | 国際政治
太平洋を「内海」に 首相が新外交ドクトリン (産経新聞) - goo ニュース

 敢えて敵を作らない全方位外交は、耳に心地よく響きますし、誰からも反対されないという長所があります。しかしながら、大風呂敷を広げた政策ほど、えてして具体化の段階に至ると、とんでもない難題にぶつかるものです。

 福田首相の新外交ドクトリンもまた、実現へのステップを踏むに際し、多くの難問を抱えることになりそうです。その難題の一つに、台湾の参加問題があります。台湾は、80年代には既に新興工業国として頭角を現し、アジア経済において重要な地位を占める工業国に発展しました。現在でも、先端技術産業において、グローバル市場で大きなシェアを占める製品部門を持っています。もし、太平洋を”内海”と捉えるならば、地政学上の観点から見ても、台湾抜きのネットワーク構築はあり得ないと思われるのです。

 そこで問題となるのは、「経済・環境共同体」のような国際機構の構築をめざすとしますと(政治的にも問題はあります・・・)、中国が、台湾の加盟を拒絶する可能性が高いということです。中国は、台湾の国家としての地位が強化されることには悉く反対していますので、これを承認するとはとても思えないのです。

 はたして、この問題は、上手に解決されるのでしょうか。加盟問題の難航が予測される国際機構の構築は諦めて、台湾を含めた二国間ネットワークを張り巡らすという方法も考えられるのですが、経済関係を強化するならば、やはり、自由や民主主義といった価値を共有する諸国を中心に進めた方が安全ではないか、と思うのです。 

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