万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米民主党の選挙戦略は正しかったのか?

2008年05月22日 16時22分10秒 | アメリカ
米大統領選 空気読まないクリントン氏 敗色濃厚なお抗戦 (産経新聞) - goo ニュース

 建国以来、アメリカ人のフロンティア精神は、政治の世界にも横溢しており、共和党が”強くて頼りになる正義の味方”をイメージしているとすれば、民主党は、”果敢に新しい世界を切り開いてゆく変革者”というイメージを国民に示してきました。しかしながら、今回の大統領選を見てみますと、民主党の路線が、どうやら限界に達しているようにも思えるのです。

 ケネディ大統領が、アメリカ史上初のアイルランド系、かつ、カトリック系の大統領であったように、民主党は、これまでにない”新しさ”を常に追求してきました。この路線の延長線上に、黒人初の大統領を目指すオバマ氏と、女性初の大統領を狙うクリントン氏が二大候補として擁立され、どちらの大統領が誕生したとしても、アメリカン・ドリームを実現するはずでした。アメリカでは、努力と才能があれば、如何なる困難を乗り越えても成功できる、という・・・。

 ところが、マイノリティー出身の候補者であることは、それだけに、反発を持つ層を作りやすいという欠点が忘れられていたようなのです。つまり、どちらの候補者にしても、国民の一部に強固な反対層を抱えてしまう可能性があるのです。しかも、選挙戦が長引くにつれて、議論が、黒人票や女性票の動向が伝えられるようになりますと、否が応でも、この問題を意識せざるを得なくなってしまいます。

 両候補の大統領としての資質が競われるのではなく、新しさを求める民主党の路線が、国民の注目をマイノリティー問題に集める結果をもたらすとしますと、かえって、社会的な分裂を引き起こすことになるかもしれません。大統領選挙が、国民分裂の要因になるとしますと、民主党の戦略は罪作りなように思えるのです。

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