万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

官僚腐敗は人災を招く

2008年05月13日 17時23分36秒 | 社会
公共施設の手抜き「おから工事」横行、被害拡大の一因に(読売新聞) - goo ニュース

 官職が個人的な利権と結びつき、汚職事件を多発させる中国の体質は、何も今に始まったことではなく、科挙制以来の中国官僚制の伝統とも言えます。この悪しき慣習は、大地震という天災に、さらに官僚腐敗による人災という追い討ちをかけたようなのです。

 現代国家にあっては、公務員とは公僕であって、国民を守り、福利を増進させために存在しています。一方、中国の官僚とは、長らく恐ろしく難関な科挙制度があったように、極めて少数の特権階級でした。官僚特有の特権意識は、共産主義体制になってさらに助長され、今日では、共産党幹部が、権力を独占し、新たな特権階級となっているのです。このため、権力を自らの利益のために利用することに対して、何らの罪の意識をも抱いていませんし、むしろ、権力の濫用は、エリートとしての当然の権利と見なしているのです。

 中国官僚には公私の区別はなく、公共事業に際しても、建設費からマージンを取ったり、事業者に賄賂を要求することも稀ではありません。そうして、この腐敗体質こそが、大地震といった天災に際して、安普請の建造物の倒壊を招き、被害を甚大な規模に拡大させているのです。新たな情報が伝わるたびに、死傷者の数が増え続け、最終的な被害者数や損害は想像もできません。中国官僚の腐敗と人命軽視もまた、中国を蝕む救いがたい災いなのです。 

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コメント (4)
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