万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

共産主義も自然には敵わない

2008年05月27日 17時40分43秒 | 国際政治
土砂ダム下流、最大130万人避難へ 四川大地震(朝日新聞) - goo ニュース

 共産主義者は、神を恐れぬどころか、自然の力をも恐れぬことにおいて、一頭抜きんでています。近代合理主義思想は、共産主義において科学万能主義と合流し、自然は、人間が科学技術を駆使して改造すべき客体となったのです。

 このためにか、共産主義国では、大型ダムの建設が国家の威信をかけて進められました。エジプトのアスワンハイダムも長江の三峡ダムも、この事例に漏れません。如何なる犠牲を払っても、共産主義者は、人間が自然を科学の力で征服した証として、ダムを建設したのです(長期的には、環境への悪影響やメンテナンス上の問題が指摘されていたにも拘わらず・・・)。大河を押し止めるようにして聳え立つダムの姿は、共産主義の自然に対する勝利宣言であったのかもしれません。

 しかしながら、人間は、本当に自然を征服できたのでしょうか。四川大地震では、労力をかけて建設されたダムの多くに亀裂が入り、加えて、土砂崩れで川がせき止められ、自然の”ダム”まで出来てしまいました。恐れるべきは自然の力であり、人間は、到底、この力には敵わないのはないでしょうか。中国共産党も、自らの限界を知り、自然に対して謙虚になりませんと、自然から思わぬしっぺ返しを受けるように思うのです。

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コメント (2)
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