万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

チベットは同盟政策を目指しては

2008年05月09日 14時05分07秒 | 国際政治
ダライ・ラマ特使会見「よい方向に」 強硬派、対話に疑問(産経新聞) - goo ニュース

 非暴力主義という言葉の響きは耳に心地よい、そうして、友好という言葉も。しかしながら、これらの言葉の裏側で、刻一刻と虐待と民族抹殺という恐ろしい蛮行が進行していたとしたら・・・。

 相手が紳士的で善良であれば、話し合いによる解決ほど望まし方法はありませんし、また、その道も開かれていることでしょう。その一方で、半世紀以上にわたって、相手側に騙され、裏切られ続けてきた経験を持つ人々に対して、この対話路線が最善の手段であることを納得させることは困難なことです。アメリカを始め、植民地独立運動の多くが自由のための戦いであったように、独立を闘いによって勝ち取るということも、一つの正当な手段なのです。日々命の危険に直面しているチベットの強硬派の人々は、対話路線への懐疑から、より強硬な路線を選択しようとしていると思われるのです。

 こうしたチベットによる自由のための戦い路線は、独立戦争の正当な主張として認めなくてはならないのですが、陸続きである上に、中国との軍事力の差は歴然としています。このため、チベット軍を編成したとしても厳しい戦いになりそうです(無差別テロを行いますと、国際世論を味方にできなくなりますので、要注意!)。国連が動くことは期待できませんので、もし、軍備を整え、正規の軍事行動に備えるためには、他国との間に政治、あるいは、軍事同盟を結ぶしかないのではないか、と思うのです。

 同盟が成立すれば、少なくとも、中国政府は、チベットに対してジェノサイドを行った場合、軍事介入を受ける可能性が生じますので、中国政府に対する強力な抑止力にもなるはずです。つまり、チベット亡命政府は、硬軟両面を使い分け、中国政府との対話を継続する一方で、同盟を模索するべきではないか、と思うのです。極めて過激な意見なようですが、どこかで攻撃力(チベットにとっては防衛力)や抑止力を準備しておきませんと、チベットの人々は、力のみを信じる国によって、地球上から抹殺されそうなのです。

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コメント (4)
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