万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国政府はチベット独立の覚悟を

2008年05月17日 14時40分35秒 | 国際政治
チベット旗、毛沢東がお墨付き…ダライ・ラマが秘話明かす(読売新聞) - goo ニュース

 チベットが置れてきた悲惨な状況については、チベット弾圧事件や聖火リレーを通して普く世界に広まり、どう弁明しようとも、中国によるチベットの領有は、侵略と植民地化以外の何物でもないことが白日の下にさらされつつあります。ドイツにおける、ダライ・ラマ14世の”毛沢東のチベット旗容認”の発言も、如何に中国政府がチベットとの約束と権利を踏みにじってきたのかを明かす証言ともなりましょう。

 事実が知れ渡った現状にあっては、もはや、中国は観念するしかなく、早晩、チベットの主権回復、あるいは、独立を認めざるを得なくなることが予測されます。もちろん、中国政府には、再び武力を用いて弾圧するという手段が残されてはいるのですが、これを行いますと、中国は、国際社会から今以上に激しい非難を浴び、厳しい政治・経済的な制裁措置が待ち受けることになるでしょう。つまり、事実上、国際社会から追放されてしまうことになるのです。それでも、国際社会とは袂を分かっても構わないと中国が判断したとなりますと、世界は、再び、軍事力が物を言う弱肉強食の時代に逆戻りすることになりましょう。

 もし、中国が、国際社会の一員でありたいと願うならば、チベットの独立容認は、必須条件であると思うのです。第二次世界大戦以降、日本国を含め、列強諸国の多くが植民地や海外領土の大半を失いました。それでも、その現実を受け入れ、政治・経済的な立場を維持する努力を続けてきたのです。中国もまた、植民地主義の終焉を受け入れ、帝国主義から脱皮すべき時期に来たっているのではないでしょうか。

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コメント (4)
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