万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

与党も野党も”外国人ファースト”-一般の日本国民はどうなるのか?

2016年10月12日 15時08分56秒 | 国際政治
安倍晋三首相が農業の外国人労働者受け入れ促進を明言 来年通常国会に特区改正法案提出
 安倍首相は、来年の通常国家において特区改正法を提出し、農業分野での外国人労働者受け入れを促進すると明言したそうです。ゆくゆくは農業分野に限らず、様々な分野に受入対象を拡大する方針とのことです。

 農業分野において外国人労働者の受け入れの理由として挙げられているのが、農業従事者の高齢化による深刻な人手不足と多様な作物生産に対応した農業の専門家としての外国人人材の活用です。しかしながら、何れも理由としては説得力に乏しいように思えます。少なくとも稲作は”さんちゃん農業”とも称されたように、機械化が進んだ今日では、専業農家の下で農地を集約化したとしても、深刻な人手不足となるのは田植えや稲刈りといった一時期に限られています。おそらく、他の殆どの農産物も、季節的な農繁期と農閑期があり、人手不足は一時的な現象なのではないでしょうか(外国人労働者である必要はない…)。また、”多様な作物生産”への対応という説明も、意味不明です。目下、輸入に頼っている農産物を国産化し、当該農産物を栽培してきた外国人技術指導者を招こうというのでしょうか。何れにせよ、国内の一般農家からの要望を受けての政策とは思えず、誰のための政策なのか、首を傾げざるを得ません。

 しかも、農業分野は、外国人労働者の受け入れの序の口に過ぎないようです。他の分野については、「アニメ、食、デザイン、ファッションに憧れて日本に来て学び、職を得て知識を積んで本国に帰って生かしたいという人たちはたくさんいる」とも語り、外国人の希望に応えることが主要な政策目的として説明されています。驚くことに、この政策目的には、日本国民の利益がすっかり抜け落ちています。当説明では、外国人労働者はやがて帰国するものと想定されていますが、永住資格の取得条件が大幅に緩和されていますので、一時的な労働者ではなく移民となる可能性も高く、また、国民の雇用に与える影響も無視はできません。

 自由民主党は、保守政党として自らを位置づけてきた政党であり、先の選挙でも、外国人労働者や移民の積極的な受け入れ拡大には言及してていなかったはずです。与党も野党も揃って外国人のための政治を推進しているとしますと、一般の日本国民は、一体、この先、どうなるのでしょうか。政府に統治権を信託しているのは、参政権を有する国民であり、納税等で歳入を支えているのも国民です。日本の政治が”外国人ファースト”であれば、日本国民は、既に自らの国を喪失したことになるのではないでしょうか。

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コメント (7)
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