駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇宙組『Le Grand Escalier』

2024年08月10日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 宝塚大劇場、2024年6月21日13時。
 東京宝塚劇場、8月7日18時。

 公演中止、演目変更が続いていた宙組の再開特別公演。パリ、グラナダ、ニューヨークと描いていく80分のレビュー。作・演出/齋藤吉正。

 マイ初日雑感はこちら。細かいことはだいたいここで述べました。
「男子三日会わざれば刮目して見よ」なることわざがありますが(しかしでは女子はどうだというのだ、今なら『虎に翼』の週タイトルになるぞ…?)、タカラジェンヌも一月半間が開くと顔つきが変わるな!と今回しみじみ思いました。まあ私の観劇が間遠になっている、ってのもあるかもしれないけれど…
 さーちゃんの舞台化粧がいい感じに少し濃くなって、やっと普通並みになっていたのがよかったし、ちっちの娘役力が上がっていて、表情の作り方とか仕草とかにすごく目を惹かれたのも楽しかったです。愛未サラちゃんが変わらずでっかく四角い口でいつもにこやかなのも、とても良きでした。あとナニーロの色気はヤバ増し(笑)。
「まことの愛」と「夜霧のモンマルトル」でものすごくマイクにエコー効果がかかって聞こえて、もえこもずんちゃんも素で上手いんだからそんなの要らないよ…?と思ってたら、あとは直ったようだったので安心しました。もえこは一時期の休演が心配されましたが、無事に復帰してよかったです。しかし代役でこってぃやナニーロが大奮闘したそうなので、それはそれで観たかったな…(^^;)
 ダンシングシオタクターがノリノリなのはいいんだけど、ちょっと気合いの声が響きすぎかなーとは思いました。宝塚歌劇の舞台に男声は要らないのよ…(私はいつかの和物ショーの声明も嫌だったので…)
 宙組は久々、というお友達を東京では同伴しましたが、楽しんでくれたようで「秒だった!」と言ってくれて、よかったです。一方で、ライトファンや宝塚歌劇が初めて、みたいな観客には、80分のショーというのはやはりやや長く感じられるかもな、とも思いました。ストーリー仕立てっぽい場面もそんなにないので、本当に過去の楽曲のオンパレードで、それを知らないと文脈は何も見えてこないと思うので、どんなに歌やダンスが華やかでも飽きてしまうのではないか、とは思います。でも、やりようだろうし、OSKなんかは今ではわりとレビュー中心に公演しているんだと思うので、構成次第なのかな? いろいろ模索していってもらいたい、とは思います。単なるミュージカル劇団ではなくて、ショー、レビューを上演する、というところに宝塚歌劇団の意義があると思いますので。英名も「タカラヅカレビューカンパニー」なんですしね。この「歌劇」はオペラ、ミュージカルとはちょっと違うんですもんね…

 しかしそれはともかく、何故来年のお正月公演なのか、は言いたい。
 聞けば来年の2月ごろ、大劇場は工事かなんかが入って一月ほど公演を休むんですよね? ならそれを前倒しにして、1月を休みにしてもよかったんしじゃないの? かき入れ時なのに、というならせめてお正月の2日か3日の初日にしては? 何故わざわざ、よりにもよって元日なのか。働き方改革を進めているのなら、大晦日や元日くらいは全員がおうちでゆっくり家族と過ごせる環境を用意するべきなのでは?
 そして何より、新年を寿ぐおめでたいお正月公演に、わざわざ宙組を当てなくてもいいのでは? 予定どおりの順番だったのかもしれないけれど、動かすことはいくらでも調整できたでしょう。何故、あえて、しなかったのか? そこには、そうしなかった、という確固たる意志を感じます。そのころには一周期も過ぎているし、もう禊ぎは済みました、完全復活で以後通常運転です、と宣言したい、ということなのでしょう。でも、とんでもないことです。
 中でゆっくり何かが改善されているんだとしても、発表されることやファン・観客が見て取れることは驚くくらい少ないし、いずれにせよ人ひとりの命が失われていて元どおりも何もないのです。これは今後ずっと劇団も関係者もファンも背負っていくべき業なのです。そこから目を背けることは許されないのです。
 一瞬、何もかも忘れて笑いときめき涙したりすることもありますが、それでもすぐにまた思い出すべきことだし、思い出してしまうことです。どうにかできなかったのか、と後悔し、二度とないように、と反省し善処する、その繰り返しを続けるしかない問題です。宙組を観に行っている人たちが何も考えていない、なんて言わせない。
 けれど劇団側が、こうまで何も考えていないかのようなことをするたびに、でもむしろ考えてこうしているんだな、という絶望に襲われて、本当に虚しくなります。150周年どころか120周年も、このままでは怪しいのではないでしょうか…まあそれで言ったらそもそも日本という国がもうかなり怪しいのですけれど…(><)
 こんなふうに案じながらファンを続けるのはなかなかしんどいことなのですよ、ぽろぽろこぼれ落ちているんですよ、東京公演はまだまだ即完売なのかもしれませんが、いずれきっと目に見える結果に出ますよ…でも「そのときはつぶせばいい」としか考えていないんだろうな、貴重な文化でありエンタメなんだ、なんて意識はないんだろうな…と思うとますます絶望的になります。本当にしょんぼりです…

 組子は暑さに負けずに完走してください。その健康と幸福を祈っています。








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